最新記事

AI

ホワイトハウス、CESでAI戦略を講演 過度な介入を制限する規制原理を提案へ

2020年1月7日(火)15時59分

米ホワイトハウスは人工知能(AI)の開発・利用に関する規制原理を提案した。写真は2019年6月、上海で開かれた技術見本市の広告(2020年 ロイター/Aly Song)

米ホワイトハウスは7日、人工知能(AI)の開発・利用に関する規制原理を提案した。当局による過度な介入を防ぐべきだとしており、欧州諸国にも強引な介入を避けるよう呼びかけている。

ホワイトハウスは、ファクト・シート(概況報告書)で「(連邦政府機関は)AIに関連する規制を導入する前に、リスク評価と費用便益分析を行う必要がある。画一的な規制ではなく、柔軟な枠組みをつくることを重視すべきだ」と指摘した。

企業の間では、AIや深層学習(ディープラーニング)を業務に取り入れる動きが出ているが、こうした技術に対しては、プライバシー、サイバーセキュリティー、将来の仕事のあり方などを巡る倫理上の懸念が浮上している。

ホワイトハウスは「信頼のおけるAI」の普及を促進すべきだと主張。「公正かどうか、差別的ではないか、オープンか、透明か、安全かを考える必要がある」としている。

例えば、米食品医薬品局(FDA)は、医療機器メーカーによるAIや深層学習技術の利用をどう規制すべきか検討を進めているという。

ホワイトハウスは「欧州と我々の同盟国は、イノベーションを阻害する強引な手法を回避すべきだ」とし「米国や米国の海外パートナーが、世界のイノベーションの中心地としての地位を確実に維持することが、独裁者のAI利用に対抗する最善の方法になる」としている。

欧州委員会の「AIに関するハイレベル専門家グループ」はすでに倫理上の指針を発表しており、欧州連合(EU)首脳も規制を検討している。

米国でも、市民の自由を脅かすとの懸念からカリフォルニア州などで顔認識技術を制限する動きが出ている。

ホワイトハウスのマイケル・クラッツィオス米国最高技術責任者(CTO)は今週、ラスベガスで開催される世界最大級の年次家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、政権のAI戦略について講演する。

トランプ大統領は昨年2月、連邦政府機関にAIの研究・普及・研修への投資拡大を命じる大統領令に署名している。

[ラスベガス ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港不動産ロードキング、オフショア債務全額払い停止

ワールド

アングル:中国企業、インドネシア事業展開に奔走 米

ワールド

スイスのジュネーブ、公共交通機関を一時無料化 環境

ワールド

南スーダン、イスラエルとガザ住民受け入れ協議との報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ「衝撃の物体」にSNS震撼、13歳の娘は答えを知っていた
  • 3
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 5
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 6
    マスクの7年越しの夢...テスラ初の「近未来ダイナー…
  • 7
    「ホラー映画かと...」父親のアレを顔に塗って寝てし…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    トランプ「首都に州兵を投入する!」...ワシントンD.…
  • 10
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 6
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 7
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 8
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中