最新記事

ここまで来た AI医療

医療診断の試験で、AIが人間に圧勝した

AS GOOD AS A REAL DOCTOR?

2018年11月13日(火)16時27分
アリストス・ジョージャウ

診断はAIに任せ、人間の医師は治療に専念できる日が来る? TERRY VINE-BLEND IMAGES/GETTY IMAGES

<患者との交流で学習し知識を蓄積するAI。医療費削減や待ち時間短縮も実現できそうだ>



※この記事は、11月20日号(11月13日売り)「ここまで来た AI医療」特集より。長い待ち時間や誤診、莫大なコストといった、病院や診療に付きまとう問題を飛躍的に解消する「切り札」としての人工知能に注目が集まっている。患者を救い、医療費は激減。医療の未来はもうここまで来ている。

英医療系スタートアップのバビロン・ヘルス社が開発した人工知能(AI)のドクターは、人間の医師並みに優れた医療アドバイスを提供できることが確認された。患者がチャットでやりとりする携帯電話アプリか、ウェブサイトで利用できるこのAIシステムについて、英王立内科医師会とスタンフォード大学、エール・ニューヘブン・ヘルス・システムの研究者らの協力で、厳しい試験が行われた。

その1つが、イギリスの研修医が総合医として独立開業するために受ける医療診断の試験だった。研修医たちの過去5年間の平均スコアは72%だが、AIのスコアは81%に達した。

症状と疾患の範囲を広げ、より現実的な状況に即した別の試験では、経験豊富な医師7人と競った。ここではAIのスコアが80%だったのに対し、人間の医師は64?94%という成績だった。一般的な症状のみの試験では、人間の医師は52?99%と大きな幅があったが、AIは98%に達した。

バビロン・ヘルスによれば、このAIは人間との交流で学習し、最新の研究に関する知識を蓄積することができる。そのため、診断の精度は今後さらに向上する可能性がある。

これらの結果は、AIの限りない可能性を示すものだ。医師の負担を軽減し、迅速で正確な診断を行うとともに、時間を節約し、コストを削減することができるかもしれない。

「どんなに豊かな国でも、外来診療は受けにくくなってきている。待ち時間が長くなり、診察を受けるまでがひと苦労だ」と、バビロン・ヘルスの創業者でCEOのアリ・パーサは言う。

AIには限界があることも、パーサは認めている。例えば、人間の医師が提供する身体的・人間的なケアの代わりはできない。

「けれどもインフラレベルでは、AIが持つ医療サービスの費用節約効果は非常に大きい」と、パーサは言う。「しかもAIは健康に対する関心を高め、その管理を促す役割を果たすことで、病気の予防をはじめ医療全般のレベル向上に大きな役割を果たせる」

【参考記事】癌の早期発見で、医療AIが専門医に勝てる理由
【参考記事】医療のブロックチェーン革命で、ここまで出来るようになる

<2018年11月20日号掲載>

ニューズウィーク日本版 AI兵士の新しい戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月13号(1月6日発売)は「AI兵士の新しい戦争」特集。ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

責任ある積極財政を通じ強い経済を構築する=年頭会見

ワールド

中国、アイルランドと協力強化へ 対EU関係改善見据

ワールド

英、EU単一市場との協調模索へ スターマー首相

ビジネス

サムスン、グーグル「ジェミニ」搭載端末を今年8億台
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中