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大阪・関西万博で起きた「1200万回」の行動変容...使い捨てから「マイボトル給水が新たな選択へ」──「ステハジ」体験型啓発

2025年12月26日(金)12時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

万博での実装が示した「共創」と「行動変容」

大阪・関西万博では、会場内に52台の給水スポットを設置し、「マイボトル『給水』が新たな選択へ」を実装した。開催期間中来場者は約2500万人に達し、給水回数は約1200万回を突破、CO2削減量は約1000tに相当するという。さらに、万博協会が想定していた来場者1人当たりのごみ排出量344gに対し、実際の排出量は179gにとどまり、結果としてごみ排出量の半減につながった。

給水という行為が、単なる設備利用にとどまらず、行動変容へと結びついた点も特徴的だ。開幕日の4月13日に行われた観測では、給水を行った100人のうち、マイボトルで給水したのは12人にとどまり、88人は空のペットボトルを利用していた。しかし、1カ月後の5月13日の観測では、マイボトルで給水した人が53人と過半数を占め、以降、閉幕まで毎月13日に行われた観測でも、マイボトル利用者は半数以上を維持したという。

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大阪・関西万博の会場内に設けられた給水スポットに並ぶ来場者。マイボトルでの給水が来場者の行動として定着し、「給水」が新たな選択肢として日常化しつつある様子がうかがえる

こうした行動変容の背景には、OSGによる運営体制の工夫があった。給水スポットの運営には、通常のメンテナンススタッフに加え、内勤社員もボランティアとして参加。熱中症啓発アドバイザーの資格を取得し、来場者だけでなく、運営スタッフに対しても給水の意義や利用方法を伝える役割を担った。

来場者と接する機会の多い運営スタッフ自身がマイボトルを携行し、給水を体験することで、自然な声掛けや行動につながったという。OSGは、給水スポットを設置するだけでは、ここまでの周知や行動変容は生まれなかったと捉えている。

この運営モデルは、会期前から共創メンバーと実施してきた各種イベントでの実証実験の積み重ねから生まれた。アーバンリサーチ、コロンビア、象印マホービン、タイガー魔法瓶、ピーコック魔法瓶工業、ポケトル、エニタイムフィットネス、Jリーグ、マラソン大会、FM802、全国の地場優良企業展示会、自治体イベントなど、分野を超えた共創の中で得られた知見が、万博での運営に生かされている。

万博での成果は、レガシーとして次の現場へと広がり始めている。その一例が、五郎丸歩氏とAKIRA氏が主催する「IWATA Seaside Dream FES」だ。OSGはイベントスタッフ全員を対象としたマイボトル給水サポートの運営を担い、アーティストからは「準備が整えばペットボトルでの飲料ではなく、マイボトルでの給水・飲用は十分問題なく対応できた!」という声が寄せられたという。

その他、「東京2025デフリンピック」や「わたSHIGA輝く国スポ2025」など様々なイベントなどや、万博会場で給水体験を行った経験をきっかけに、市の全小中学校への給水スポット設置が各所で拡がりを見せている。

また、「マイボトル『給水』が新たな選択へ」という経験は、給水という行為にとどまらず、さらなる分野へと展開しつつある。「ステハジ」プロジェクトでは、この実践を起点に、業界初となる回収型衣類循環プロジェクトなど、新たな取り組みも共創の輪の中から生まれている。

こうした実装の積み重ねを背景に、OSGは次の国際舞台も見据える。2027年に開催される「2027年国際園芸博覧会」でのサポートや、「2030年国際博覧会」への展開を視野に入れながら、スポーツ、音楽、教育機関など、多様な分野との連携を通じて「マイボトル『給水』」の文化を社会に根付かせていく構えだ。

万博で示されたのは、設備や数値の成果だけではない。人を巻き込み、体験を通じて習慣を変え、その先に新しい社会の選択肢を実装していく──。OSGが「ステハジ」プロジェクトを通じて描くサステナブルの姿が、ここにある。

◇ ◇ ◇


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