最新記事
SDGsパートナー

回収ボックスのその先で、プラスチックはどうなっている?――湘南貿易が挑む「見えるリサイクル」とは

2025年12月25日(木)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
湘南貿易ECORACYのイベントの様子

湘南貿易ECORACYのイベントの様子

<プラスチックを「資源」として扱うには、何が必要なのか。横浜の機械商社・湘南貿易は、「見えるリサイクル」を通じて、新しい循環モデルを形づくろうとしている>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

ペットボトルやレジ袋など、暮らしのあらゆる場面にプラスチックは使われているが、一度役目を終えた多くは「ごみ」として見えない場所へと運ばれ、その後どうなるのかを意識する機会は少ない。

「リサイクル」という言葉は広く知られているものの、回収ボックスに入れた先の工程や、どんな製品に生まれ変わるのかまでイメージできる人は多くなく、「資源として循環させる」という発想が日常に根づきにくいのが現状だ。

一方で、プラスチックは適切に回収・再生すれば、繰り返し資源として利用できる素材である。

リサイクルを「頭で知る」だけでなく、目で見て、手で触れるなど「体験する」ことでこそ、資源循環の意味が自分ごととして理解されていくのではないか。

こうした問題意識を背景に、「リサイクルをより身近に、そして見える形で伝えること」の重要性を早くから意識してきた企業がある。横浜市を拠点とする機械商社・株式会社湘南貿易だ。

同社は、「Eco(エコ)」と「Literacy(リテラシー)」を掛け合わせた「ECORACY(エコラシー)」の名前で、廃プラスチックを活用したイベントやワークショップを展開し、再生・アップサイクルを体験型の学びに変える取り組みを進めている。

湘南貿易が取り組む「プラスチックごみ=資源」という新たな価値観を広げる挑戦とは、一体どのようなものなのか。

プラスチックごみを「資源」に変える、見えるリサイクル

湘南貿易のアップサイクル循環図

湘南貿易のアップサイクル循環

株式会社湘南貿易は、横浜市を拠点にリサイクル関連装置などの輸入・販売を行う機械商社だ。

同社は長年、オーストリア・EREMA社のプラスチック再生機を日本に導入し、ペットボトルの再資源化を支えてきた経験から、リサイクルの現場と社会との間にある「見えない壁」を強く感じていたという。

リサイクルを推進する立場として、「自社の廃材を自社で循環させる仕組みをつくりたい」「廃プラスチックの価値をもっと高めたい」という思いも高まり、2008年頃にエコロジー事業部を立ち上げた。

同事業部を中心に、環境関連機器の輸入や技術提案を本格化させるなど、早い段階から環境分野を事業の柱としてきた。

2019年には、神奈川県内で廃プラスチックの再資源化をテーマにした出張型リサイクルワークショップを開始。ペットボトルキャップなどを粉砕・溶融してキーホルダーやアクセサリーにアップサイクルする一連の工程を、参加者が目の前で体験できるプログラムだ。

エコロジー事業部の庄司真唯氏は、「ごみが資源に生まれ変わる瞬間を体験してもらうことで、SDGs目標12『つくる責任 つかう責任』や目標4『質の高い教育をみんなに』の推進につなげていきたいと考えています」と話す。

こうした体験が、資源循環や持続可能なライフスタイルを自分ごととして捉えるきっかけになっているのである。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む

ビジネス

SOMPO、農業総合研究所にTOB 1株767円で

ワールド

中国、米国の台湾への武器売却を批判 「戦争の脅威加
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中