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食品ロス

食品廃棄物が資源に変わる...飼料とエネルギーを生む日本の革新

Food Waste Innovations

2024年12月10日(火)16時50分
岩井光子(ライター)

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センターに搬入された廃棄物 COURTESY OF JAPAN FOOD ECOLOGY CENTER,INC.

開発した飼料を軸に食品廃棄物処分業と飼料製造業を合わせて事業化したのが、日本フードエコロジーセンターだ。

儲けよりも社会変革を

高橋は学生時代、自然保護の学生団体を立ち上げてボランティア活動に打ち込んできた。しかし熱意や知識だけでは国や大企業を動かせないと痛感。その経験が、獣医師ではなく経営コンサルを経て起業家になるという異色の道を突き進んできた原動力だ。

目指すのは「金儲けよりも社会変革」。開発した飼料も特許は取らず、工場内から製品情報も全て公開している。

昨年、センターの隣接地でバイオマス発電所「さがみはらバイオガスパワー」が稼働。それまでマヨネーズなど油分の多い食品の利活用は、豚の健康を考慮すると飼料に適さず断らざるを得なかったが、プラントで作るバイオガスの原料に回せるようになった。

メタン発酵後、ガスは抽出して売電事業に回す。液状の有機肥料である消化液を分離後、汚泥は排熱を利用して乾かし、肥料にする。原料もエネルギーも使い尽くす、無駄のないフローだ。

食品リサイクルの循環は相模原で一応完結したが、「まだ目標の半分の地点」と、高橋は先を見据える。「廃棄物は地域性が強く、うちのモデルは全国各地に適用できない。地域に即した循環モデルの仕組みづくりを後押ししたい」

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