最新記事
SDGsパートナー

大切な服の寿命を延ばして、もっと長く着る...hap「カバロスランドリー」のサーキュラーファッション

2024年11月26日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

業界全体の意識不足や抵抗が大きな壁に

カバロスの開発の原点は、2013年にバングラデシュの首都ダッカ近郊で発生した「ラナ・プラザ崩落事故」だったという。この商業ビルには多くの縫製工場が入居しており、従業員ら1000人以上が犠牲となった。

hapの創業者で代表取締役社長の鈴木素氏は、「この事件を受けて、アパレル産業における人権問題や環境問題に強い関心を抱き、持続可能なサーキュラーファッションを開発する決意を固めました」と語る。

しかし、初期段階から多くの課題に直面する。「特に、繊維アパレル業界全体での持続可能性の意識不足や、既存の製造プロセスを変えることへの抵抗が大きな障害でした」と鈴木氏は振り返る。

繊維アパレル製品のサプライチェーン全体(製造時、利用時、リサイクル時)のプラットフォーム

繊維アパレル製品のサプライチェーン全体(製造時、利用時、リサイクル時)のプラットフォーム


業界全体の意識を高めるためにも、科学的データに基づいて持続可能性を評価することが重要であり、それに多くのリソースやコストを投入したという。現在は、信州大学や九州大学発のスタートアップaiESG社などと協力し、サプライチェーン全体のESG(環境、社会、ガバナンス)評価や、製品の資源採取から廃棄に至るまでの環境負荷を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)の導入を進めている。こうした取り組みは、大手アパレル企業との連携にもつながっている。

hapは、B2C展開も積極的に行っており、常識を覆すような商品が注目を集めてきた。クラウドファンディング「Makuake」では、カバロス超温熱掛け布団PROや超冷感Tシャツ、消臭ソックスなど、これまで10点を発売し、応援購入総額は2億円を超える。

カバロスの技術を通して、hapはファッション業界における供給過多を解消するだけでなく、「サステナブルファッション」という概念を消費者の間に広げることにも貢献してきた。一枚の衣類をより長く、大切に着続けることは、持続可能なライフスタイルに転換する大きな一歩となるはずだ。


【関連記事】
環境配慮も、快適さも、多機能性も...hapが開発した「いいとこ取り」な多機能素材「COVEROSS」の誕生秘話

ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イランとイスラエル、再び互いを攻撃 米との対話不透

ワールド

米が防衛費3.5%要求、日本は2プラス2会合見送り

ビジネス

トヨタが米国で値上げ、7月から平均3万円超 関税の

ワールド

トランプ大統領、ハーバード大との和解示唆 来週中に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 6
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 7
    ジョージ王子が「王室流エチケット」を伝授する姿が…
  • 8
    イギリスを悩ます「安楽死」法の重さ
  • 9
    中国人ジャーナリストが日本のホームレスを3年間取材…
  • 10
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中