ニュース速報
ビジネス

アングル:関西の電鉄・建設株が急伸、自民と協議入りで「維新トレード」の思惑

2025年10月16日(木)13時52分

10月16日の東京株式市場では、阪急阪神ホールディングスや浅沼組といった関西の電鉄株や建設株が急伸している。6月30日、都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Noriyuki Hirata

[東京 16日 ロイター] - 16日の東京株式市場では、阪急阪神ホールディングスや浅沼組といった関西の電鉄株や建設株が急伸している。日本維新の会が自民党と政策協議を始める伝わったことを手掛かりに、維新の掲げる副首都構想への思惑に基づく「維新トレード」が活発化しているようだ。 阪急阪神HDのほか、近鉄グループホールディングス、南海電気鉄道、京阪ホールディングスといった関西の電鉄株の上昇が目立つ。JR西日本がプラスなのに対し、JR東日本がマイナスなことが象徴的とみられている。

淺沼組のほか、銭高組、南海辰村建設、大末建設、奥村組といった建設株も、関西に地盤のある銘柄を中心に上昇している。

足元の物色傾向を踏まえて岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部部長は「維新トレードの様相」と話す。維新と名称が重なるイシンは一時ストップ高をつけた。

副首都構想は、維新の政策の柱のひとつ。大地震などの災害で東京が機能不全に陥った場合に備えて、行政や経済などのバックアップ機能や首都機能の一部を地方に分散させる考えで、市場ではエリアは大阪を想定しているとの思惑がある。

自民党の高市早苗総裁が15日、維新の吉村洋文代表と会談して連立政権入りを含めた協力を打診し、両党首は政策協議を始めることで一致したことで、同構想の実現可能性に関心が向かっている。

こうした銘柄群は「維新との連立に関連して、今後も折に触れて手掛かりになりやすい」と、三菱UFJeスマート証券の山田勉マーケットアナリストはみている。

<高市トレードに投資家は半身>

三菱重工業や助川電気工業、電力株といった高市氏の政策に関連があるとみられる銘柄群の一角もあらためて物色されており、高市トレードも再開の機運が生じている。

もっとも、投資家は半身の構えのようだ。日経平均は4万8000円を3営業日ぶりに回復した後は上値が重くなっている。

為替は円高基調でもあり、金融市場全体が高市トレードの様相になってるわけでもなく、高市トレードを織り込んでつけた史上最高値4万8597円への接近が意識され「4万8000円を超えてくるとためらいもある」(岩井コスモの有沢氏)との声がある。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは「予算がついている防衛関連株などとは異なって相当長いテーマでもあり、(維新トレードの)物色が長続きするかはわからない」との見方を示す。 維新は協議の結果を踏まえて20日までに協力するかどうか判断し、自民党に回答する流れとなっており「まずは協力に向けた協議がまとまるかを見極める必要がある」と話している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、米特使らと電話会談 「誠実に協力し

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

ガザ交渉「正念場」、仲介国カタール首相 「停戦まだ

ワールド

中国、香港の火災報道巡り外国メディア呼び出し 「虚
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 10
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中