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カナダ発、再利用しづらい竹の割り箸をアップサイクルするスタートアップが日本に上陸

2024年10月31日(木)10時48分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

使ってみたくなる「デザイン」 コクヨとの共同開発も

「廃棄される割り箸の量を減らす」というチョップバリューのビジョンは、時代にマッチしている。しかし、同社が勢いに乗っている理由はそれだけではないだろう。製品を使う側にとっては、デザイン性と使いやすさも重要なポイントだ。

現代人はデザイン性に富んだモノに囲まれている。同社の割り箸を加工した製品は、柄のパターンも色も様々で、どれも美しい。上質なライフスタイルやワーキングスペースを求める人や企業は、これなら使ってみたい!と思うだろう。実際、オンラインショップには、購入者から「割り箸とは思えないデザインだ」「非常に使いやすい」といったコメントが寄せられている。

また同社の品質重視の姿勢には、事務用品メーカーの株式会社コクヨも共感し、両者で割り箸をリサイクルした新しい家具シリーズの開発も進めている。


日本でのビジネス展開を図るチョップバリュー JETRO Global Eye / YouTube

「B Corp認証」を取得している

チョップバリューは、日本でもよく報道されるようになった「B Corp(B Corporation / Bコーポレーション)」認証を、2021年に取得した。

B Corpは、社会に利益をもたらす優れた活動を行う企業に与えられる国際的な民間認証制度。取得のハードルが高いことで知られ、企業の活動を5つの分野―「ガバナンス」「従業員」「環境」「コミュニティ」「顧客」―で評価する。約180の質問のうち80以上をクリアし、インタビューなどを受けて(点数の修正が行われる場合あり)、最終得点が80点を超えていれば認証を得られる。認証は3年ごとに更新が必要だ。2024年10月時点で、世界で9100以上の企業が取得しており、日本では45社となっている。


チョップバリューはこのB Corp取得にあたり5つの全分野で計101点を獲得。このうち「環境」分野では36.8点と高得点で、B Corp企業(2021年)全体の上位5%に入るという好成績だった。ほかの分野の改善もさらに進めていく必要はあるが、同社が環境への責任を果たす努力をしている企業であることは間違いない。

10年後、チョップバリューの製品が日本のあちこちの公共施設や飲食店で見られるようになっているか、楽しみにしたい。


岩澤里美[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。欧米企業の脱炭素の取り組みについては、専門誌『環境ビジネス』『オルタナ(サステナビリティとSDGsがテーマのビジネス情報誌)』、環境事業を支援する『サーキュラーエコノミードット東京』のサイトにも寄稿。www.satomi-iwasawa.com


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