最新記事
SDGs

【SDGsホンネ座談会】「意識が高いという自覚はない」「SDGsは当たり前...」学生が感じる「サステナビリティ意識の世代差」

2024年8月2日(金)17時00分
写真:林 直幸 文:酒井理恵
写真左から、慶應義塾大学の総合政策学部3年の児玉英里さん、通信教育課程 経済学部3年の鈴木日和子さん、環境情報学部4年の藤田光燿さん、同学部4年の宮沢桜太朗さん

写真左から、慶應義塾大学の総合政策学部3年の児玉英里さん、通信教育課程 経済学部3年の鈴木日和子さん、環境情報学部4年の藤田光燿さん、同学部4年の宮沢桜太朗さん


例えば、親世代と比べ、あるいは同年代の友人と比べ、サステナビリティに対する自分の意識をどう捉えている? 「SDGs」「サステナブル」「エシカル」といった言葉が広く認知されるようになったが、依然として「一過性のブーム」と捉える人も少なくない。

これらの概念がすでに身近なものとなっている現代の若者たちの「ホンネ」に迫るため、地球温暖化や気候変動の問題を研究する慶應義塾大学の蟹江憲史研究室の学生たちを中心に集め、座談会を開催した(本記事は座談会後編)。

──親世代と話していて、SDGsに対する意識にギャップを感じることはありますか?

児玉英里さん(以下、児玉):親と話していると、サステナビリティの捉え方がかなり違うなとは感じます。私は自分がキャリアを築くために必要なものだと思っていますが、親の世代からすると利益追求が最優先で、「サステナビリティはプラスアルファでやるもの」という認識が強い。根本的に、価値観が違うんだなと感じます。

あとは、私の取り組みに対して、「意識が高いね」「行動力すごいね」「自分が大学生の時には」と言われることは多いですね。

newsweekjp_20240801064844.jpg

児玉英里さん(慶應義塾大学 総合政策学部3年)

鈴木日和子さん(以下、鈴木):自分たちはSDGsを「当たり前」だと捉えている世代です。上の世代だと「ただの流行」だと捉えている方もいますが、私たち世代は「自分ごと化」している人が多い印象です。だから、「意識が高い」「行動している」という自覚はあまりありません。

newsweekjp_20240801064958.jpg

鈴木日和子さん(慶應義塾大学 通信教育課程 経済学部3年)

藤田光燿さん(以下、藤田):時代がやはり違うので、子どもの頃からスマートフォンを持っていれば情報へのアクセスのハードルが下がりますよね。そこでSDGsの認知がより広がっていると思いますし、僕たちの世代と今の小学生とでも、価値観がまた変わってくると思いますよ。

newsweekjp_20240801065107.jpg

藤田光燿さん(慶應義塾大学 環境情報学部4年)

宮沢:僕は皆と違って、そこまでギャップを感じていませんね。親世代も興味のある人、興味のない人、それぞれなので。

僕のインターン先では「世代論」を調査していて、行動に移しているのは意外と上の世代だというデータもありました。例えば気候変動の側面から考えると、僕たちは生まれた時から暑くて当たり前でしたが、きっと親からしたらかなりの変動を身をもって感じているはず。

その点で言えば、親世代のほうがより危機感を感じているんじゃないかな。あと、今の小学生は学校でSDGsを学ぶので、子どもがそれを家庭内で話せば、親や祖父母にも知識が広まり、世代間ギャップが埋まっていくんじゃないかなと思います。

newsweekjp_20240801065219.jpg

宮沢桜太朗さん(慶應義塾大学 環境情報学部4年)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アクティビストのスターボード、米ファイザーの全保有

ワールド

米NY州知事、法人税引き上げ検討 予算不足に備え=

ビジネス

午前の日経平均は続落、見極めムード 中国関連は大幅

ワールド

マクロスコープ:日中関係悪化、長期化の様相 201
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中