最新記事
SDGsパートナー

同業者の脱炭素経営をサポート...印刷会社・光陽社が「日本サステナブル印刷協会」を設立した理由

2023年12月22日(金)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
飯能プリンティングセンターBASEの外観

飯能プリンティングセンターBASEの外観

<会員が増えるほど脱炭素化が進む仕組みとは?>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


株式会社光陽社は2022年12月、印刷業界全体のカーボンニュートラルを目指して「日本サステナブル印刷協会」を設立した。かねてより脱炭素対策に積極的に取り組んできた同社が、同業者の脱炭素経営をサポートする理由とは──。

中小企業が単独で取り組むことの限界

酷暑や豪雨など、毎年のように「異常気象」という言葉が聞かれるようになった昨今、気候変動への関心は世界的にますます高まり、個人も企業も責任ある行動を求められている。

国内外であらゆる企業が脱炭素対策に本腰を入れるなか、日本の印刷業界からも環境負荷を減らそうとする動きが出てきた。「日本サステナブル印刷協会」の発足はその一つ。立ち上げたのは、社員数約200人で中堅規模の印刷会社、株式会社光陽社だ。

常に生産工程を見直し、環境負荷を低減させることを目指してきた同社は、2021年10月に埼玉県にある自社工場「飯能プリンティングセンターBASE」のカーボンゼロ化を達成。そのタイミングで「カーボンゼロプリント」マークを策定した。光陽社の工場で生産した印刷物にこのマークを表示させることで、顧客は脱炭素に貢献する印刷会社を採用していることをアピールできるという仕組みだ。

2022年4月、全社的に実質カーボンゼロを達成した際には、印刷物のライフサイクルにおけるCO2排出量を算定するシステムを構築。その排出量をカーボン・オフセット(※)することで、製品のCO2排出量を実質ゼロとした「カーボンニュートラルプリント」という印刷サービスを開始した。

※やむを得ず排出されるCO2を、別の削減・吸収活動で相殺すること

koyosha_report.jpg

同社の「サステナビリティ報告書2022」に表示されたカーボンニュートラルプリント

半年ほど経つと、同業他社から「同じサービスを始めたい」と声を掛けられることが増えてきたという。

「これらのサービスは100社以上に採用いただけて好評でしたが、一中小企業が運用する環境ラベルのままでは、認知度や信頼性に限界があることを痛感しました」と語るのは、同社サステナビリティ事業部の佐々木雅規氏。

「中小企業が大半を占める印刷業界では、自社製品のCO2排出量の算定や削減への取り組み、カーボン・オフセットさえも難しいのが現実です。このことから、印刷業界の脱炭素経営をサポートすることが自社のサステナビリティにもつながると確信し、2022年12月に『日本サステナブル印刷協会』を発足させるに至りました」

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日米2回目の関税交渉、赤沢氏「突っ込んだ議論」 次

ワールド

原油先物が上昇、米中貿易戦争の緩和期待で

ビジネス

午前の日経平均は続伸、一時500円高 米株高や円安

ビジネス

丸紅、26年3月期は1.4%の増益予想 非資源がけ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中