最新記事
SDGsパートナー

環境配慮も、快適さも、多機能性も...hapが開発した「いいとこ取り」な多機能素材「COVEROSS」の誕生秘話

2023年12月21日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

開発の原点は「海外のアパレル産業への疑問」

鈴木氏がカバロスの開発を始めたのは、海外に拠点を置く日本人技術者と出会い、その技術に惚れ込んだことが大きなきっかけだった。そして同氏は「もう一つ転機となった出来事があります」とも語る。

「当時は海外出張の機会が多かったのですが、海外のアパレル産業では児童労働や薬剤の垂れ流しが日常茶飯事でした。こういった光景を頻繫に目にしているうちに、私も普通のことだと感じるようになっていました。しかしある時、この現状に疑問を抱くようになったことが、カバロス開発の原点となっています」

こうした背景があり、カバロス開発においては、企業の社会的責任や透明性、トレーサビリティの確保を重要視するほか、サステナブルな原料を使用すること、染色工程や機能付与工程などの製造工程での環境負荷を削減することに努めているという。

この取り組みが評価され、朝日新聞で取り上げられたり、テレビ東京「ガイアの夜明け」で2度も密着取材されたりしている。さらに、2023年には「カバロスのサーキュラーファッション」で、第11回技術経営イノベーション大賞「内閣総理大臣賞」を受賞に至っている。

sub1.jpg

左から、hap 専務取締役クリエイティブディレクター ⽮作⽐呂貴氏、hap 代表取締役社長 鈴木素氏、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局統括官 奈須野太氏(肩書は当時のもの)、hap スマートウェア事業部ディレクター 宮⽥昇氏

hapは海外にも積極的に進出しており、2019年にフィンランドに研究機関としてCOVEROSS株式会社を設立したほか、バングラデシュでダッカ大学・信州大学とデング熱対策の共同研究を行っている。また、アメリカでは2018年に「カバロスウィザード」が、国際綿花評議会の「What's New In Cotton(革新的コットン)」に日本企業による取り組みとして初めて認定されている。

hapはSDGsの取り組みにおいて、パートナーシップを重視しており、大学や企業と連携し、共同研究やサービスの展開を進めている。今後、海外の大学や企業にも手を広げることで、アパレル業界における問題解決の取り組みが、日本のhapを起点により国際的に広がることを期待したい。

【関連記事】
大切な服の寿命を延ばして、もっと長く着る...hap「カバロスランドリー」のサーキュラーファッション

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米主要港ロサンゼルス、5月の輸入は前年比9%減 対

ワールド

ベトナム、米との貿易交渉進展 主要な問題は未解決

ワールド

ベトナムがBRICS「パートナー国」に 10番目の

ワールド

トランプ米政権、入国制限に36カ国追加を検討
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中