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ビタミン剤で「皮膚がん」のリスクが低下する可能性...DNA修復が鍵か?【最新研究】

Vitamin Supplement Linked to Reduced Risk of Skin Cancer

2025年10月2日(木)17時40分
ハンナ・ミリントン

なお、今回の調査で対象とされたのは経口摂取のニコチン酸アミドであり、同じビタミンB3でもナイアシン(ニコチン酸)とは異なる物質であることにも留意が必要だ。その上でウィーレス医師は次のように述べる。

「30日という短期間の投与でも効果が見られましたが、長期間にわたる摂取を行っていた患者では、それ以前に皮膚がんを複数回経験していた場合が多く、治療期間の『最適な長さ』については依然として課題が残っています」


 

DNA修復と日焼けダメージの蓄積抑制が鍵

ニコチン酸アミドが皮膚がんのリスクを下げる仕組みについて、「DNA修復の促進と紫外線によるダメージの蓄積抑制」に関連している可能性があると研究者らは考えている。

「過去に1〜2回、皮膚がんを経験した患者の場合は、日光曝露によるダメージが比較的少ないという間接的な指標になり得ます。この段階でDNA損傷の進行を抑えることで、新たな皮膚がんの発生を抑えられる可能性があります」(ウィーレス医師)

逆に、すでにそれ以上の複数回にわたって皮膚がんを発症し、「フィールドがん化現象(field cancerization)」と呼ばれる前がん細胞の状態にある場合は、わずかなダメージでも新たな皮膚がんを発生しやすくなり、ニコチン酸アミドの効果は限定的になるという。

日中の外出を避ける、日焼け止めを塗る、UV加工の衣類を着用するといった、従来の紫外線対策は今後も重要であるとしたうえで、ニコチン酸アミドを「もう一つの予防ツール」として研究チームは評価する。

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