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ひざの痛みは、歩き方を少し変えるだけで改善できる【最新研究】

2025年9月15日(月)11時30分
トーマス・ウェスターホルム
膝の痛みを抱える人

New Africa-shutterstock

<膝の痛み、鎮痛薬や関節注射に頼るしかなかった変形性膝関節症。医学誌ランセット掲載の臨床試験で分かったこととは?>

歩き方を、少し変えるだけ。それで膝の痛みが和らぎ、変形性膝関節症の進行を遅らせられる可能性がある――そんな研究結果が発表された。

この1年間にわたる臨床試験は、スタンフォード大学、ニューヨーク大学、ユタ大学の研究チームが実施し、医学誌ランセット(The Lancet Neurology)に掲載された。

研究では、歩行時の足の向きをわずかに内側または外側に変えることで、膝の関節にかかる圧力を軽減できるかを検証。足の角度を個別に調整した被験者は、通常の歩き方を続けた人と比べて痛みが少なく、軟骨の損傷も抑えられる傾向が見られた。

「変形性膝関節症はアメリカで深刻な問題になっている」と、論文の筆頭著者の一人であるユタ大学のスコット・ウルリッチは本誌に語った。

「40歳以上の5人に1人が、この疾患による痛みに悩まされる。効果的な治療法はなく、多くの人は鎮痛薬や関節注射に頼って痛みをコントロールしているのが現状だ」

「バイオメカニクス(生体力学)の分野では、歩行パターンを変えることで膝への負荷を減らせるかどうか、何十年にもわたり研究が行われてきた。膝の負担は、痛みや疾患の進行と密接に関係している」

「これまでの研究で有望な結果が出ていたことが、今回の臨床試験の着想につながった。私たちは長期(1年間)にわたって、プラセボ群と比較しながら、歩行の再訓練が本当に痛みを軽減し、軟骨の劣化を遅らせるのかを厳密に検証した」

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