「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち

幸運にも、救出は間に合った。

ペイトンのシェルターへ戻ったスタッフは、すぐに緊急対応を開始。地元のグルーマーの協力のもと、最初の72時間で毛玉のひどい110匹の毛を剃り落とした。その量は約200ポンド（約90kg）、1匹あたり平均1.5ポンドにもなる。

「これは見た目を整えるためではなく、命を守るための処置でした。毛玉の下には傷や異物、炎症が隠れていたのです」

ただし、すべての犬を救うことはできなかった。そのうちの1匹は、子宮感染と摘出不可能な腫瘍（グレープフルーツ大）により、安楽死を余儀なくされた。

その後、犬たちは敷地内に急遽設置された仮設シェルター「MASh（Modular Assembly Shelter）」に移された。地元の動物団体からは50個のケージ、地元企業からは輸送用バンの提供を受けるなど、地域全体で支援の輪が広がった。

犬たちは丸2日間眠り続け、人生（犬生）で初めての「ちゃんとしたお風呂」を経験し、安心できる環境に包まれた。「まだ不安そうな子もいますが、信頼の兆しを見せる犬もいます。彼らの回復力には心から感動しています」とカタヴァ氏。