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「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞の遺伝子に火を点ける「プルアップ」とは何か?

2025年7月19日(土)09時30分
ポール・ウェイド(元囚人・キャリステニクス研究家)

男は若い頃から、押すことが男らしいと教えられる。優越性を見せつけるために押し返し、ケンカになると押した後、殴る。それは自分を守るためでもある。追い詰められると前に押し出る。押し進むのだ。

心理的にも、ほかの人を押しのけ、個人的な空間を保とうとする。引くことを教えられるのは女たちだ。子供たちを引き寄せることを教えられるのだ。男たちは、独立した存在になることを教えられて育つ。押しのけることが、頭の中で「強い」と同義になっていく。


プルアップの効能

「押す」と「引く」に関するわたしの意見は、文化人類学的な視点からエクササイズを分析した洞察に聞こえるかもしれないし、監房でプッシュアップやプルアップをやりすぎた男の妄想に聞こえるかもしれない。

たぶん、その両方だろう。プッシュ(押す)とプル(引っ張る)に関するわたしの理論の正否を別にしても、ほとんどのアスリートが、上半身を引っ張る筋肉を過小評価しているのは間違いがない。

体幹の筋肉といえば、大きな胸、あるいは広がりがある丸い肩を思い浮べる。これらの「押す」筋肉は確かに大切だが、背中にある引っ張る筋肉と比較するとちっぽけなものだ。

人間の体幹にある最大の筋肉は、脇の下から肋骨を超えて下降していき、まるで開いた扇子のように背中に広がる広背筋だ。

僧帽筋、三角筋、円筋、菱形筋など背中にある他の筋肉のほとんどがプルアップを行う時に動作するが、その中で、もっとも強く働くのがこの広背筋だ。広背筋は刺激に対して反応しやすく、

負荷を加えると瞬く間に発達する。広背筋にある筋肉細胞は、刺激を受けると、すぐに大きく強くなるよう遺伝子的にプログラムされているかのようだ。ポーズを取るボディビルダーを見てみよう。

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