ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるのか?...「断続的ファスティング」が進化させる「脳」と「意志」

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<空腹や不安を克服し、脳と身体の機能を再起動する「セルフハック」について>
ファスティングはツラいものではなく、やっていて楽しくなるもの。数々のダイエットに挫折してきた著者が、「ファスティング」を再定義。
『シリコンバレー式 心と体が整う最強のファスティング』(CEメディアハウス)の序章「ファスティングを通して最高のあなたに出会う」を一部編集・抜粋。
断続的ファスティングはツールキットだ。何かを断つ期間とふだんどおりの行動をとる期間を交互に繰り返す「断続的ファスティング」とは単なるルールではなく、自分をバイオハックして機能を向上させるプログラム全体を指す。
どうしてもと言うなら、ファストフードみたいに体に悪いクズのような食べ物を毎日食べ続けたっていい。ベジタリアンでもビーガンでもかまわないし、ケトジェニックや完全無欠(ブレットプルーフ)、その他ありとあらゆるダイエット法を実践してもいい。
どんな食事法を選ぼうと、それにこれから説明するファスティングの手法を組み合わせれば、あなたはもっと幸せになれるだろう。
驚きの事実をもうひとつ。あなたは空腹を感じなくなる。それとはまったく逆の状態になるのだ。断続的ファスティングは空腹やそれに伴ういっさいの心理的負担からあなたを解放する。
空腹は不安という不安を増大させるが、それは空腹が脳内の強力な生化学カスケード(反応の連鎖のこと)を起動させるからだ。そうした連鎖反応に大きくかかわっているのが、小粒のアーモンドほどの大きさとかたちをした扁桃体という原始的な脳領域である。
イェール大学の神経科学者ポール・マクリーン博士は、原始的な性質をもつ脳の領域を「爬虫類脳」と呼んだが、扁桃体はその一部だ(*)。扁桃体は瞬間的な無意識の情動的判断を司(つかさど)り、そのおかげで24時間警戒していなくてもあなたは生存し続けることができる。
そして、不意にライオンに襲われたらとっさに逃げるとか、(現代ではこちらのほうが一般的だが)熱いストーブに触ったとき火傷しないようパッと手を引っ込めるといった「闘争・逃走反応」を牛耳っている。