脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる人が続けている」習慣の秘訣
体のコンディションは朝昼夜で異なる
「かまた体操」とは、ぼくが佐賀県で開催している「がんばらない健康長寿実践塾」、通称「鎌田塾」の健康運動指導士や塾生たちと一緒に考案した、オリジナルの健康体操です。
たとえば、塾生の中にも、毎朝、ラジオ体操をしている人がいます。もちろんラジオ体操はすばらしい体操ですが、私たちの体のコンディションは朝・昼・夜で違い、それぞれの時間帯で、体が必要としている動きも違うのです。
そこでぼくは、朝・昼・夜に分けて行う、計6つの体操を考えました。1日3回、それぞれの時間帯に適した体操を2つずつ行うだけ。1つの体操が約30秒ですから、朝・昼・夜、それぞれ1分。
年齢を重ねて、筋肉量や骨密度が下がった状態でハードな運動をすると、むしろ体の負担になってしまうことがあります。最適な運動量で毎日続けられることを大切に、脳・筋肉・血管・腸・骨の5つの力をバランスよく高められるように考えた体操、それが「かまた体操」です。
筋肉を動かすと「若返りホルモン」が出る
「かまた体操」で特に意識したのは、太ももやふくらはぎなど、大きな筋肉を積極的に動かすことです。その理由のひとつは、筋肉を動かすことで「マイオカイン」が分泌されるから。マイオカインとは、筋肉から分泌されるホルモンの総称で、「若返りホルモン」とも呼ばれています。
このマイオカインには、
・血圧や血糖値を下げる
・動脈硬化を予防する
・抗うつ作用
・免疫力を高める
・がんのリスクを減らす
などの、体にうれしい健康効果が期待されているのですが、さらに注目すべきなのは、脳細胞の成長や修復を助けるマイオカインが存在することです。つまり、筋肉を動かすたびに、体だけでなく脳まで元気になる──。そんなイメージで、「かまた体操」に取り組んでいただければと思います。