最新記事
インタビュー

「達成の快楽は20世紀的」 佐々木俊尚に聞いた、山頂を目指さない「フラット登山」の魅力

2025年5月30日(金)18時00分
一ノ瀬伸

newsweekjp20250528171609.jpg

山の楽しみは山頂の眺望以外にも。過程を楽しむ「フラット登山」なら、雨の日だって楽しい(写真は青木ヶ原樹海) COURTESY OF TOSHINAO SASAKI

──山を歩いているときはどういうマインドでいるといいのでしょうか? 日常的な悩みや仕事のことを考えてしまうこともあると思います。

まあ、どうしても考えちゃいますよね。考えちゃうけど、執着しなければいい......とか言っていると、禅みたいな話になっていくけれど、それに近いと思いますよ。前に仏教のお坊さんから聞いたのは、青空に浮かぶ雲が雑念だとしたら、雲が湧いてくるのは避けられないから、雲を拒否せず、流れ去るまで放置しておくこと。

あとは仲間と一緒に行けば遭難のリスクヘッジにもなりますし、「景色すごいね」「でかい木があるよ」とか話していれば余計なことを考えなくてもすみますよね。僕も20代の頃はよく一人で登山をしていたけれど、いまは仲間と楽しみながら歩いています。

──本書では、フラット登山の概念から必要な装備やハック、そして佐々木さんのおすすめコースとして、東京都西部の野川周辺や三浦半島、富士の樹海など関東近郊を中心に30のルートを紹介しています。それ以外に、自分の住む地域の近くでフラット登山のコースを探すコツはありますか?

山の地図を見ながら、山頂へ登らず山麓だけを歩けるコースを探すのがいいと思います。なるべく平たくて森の中や牧場の近く、田んぼのあぜ道とか、そういうところで歩ける場所がないかなと探していくんです。ロングトレイルのコースの一部を歩くのもいいし、湖のほとりや川沿いも狙い目です。

──では最後に、どんな人にフラット登山をおすすめしたいですか?

頭脳労働で疲れている人や体力の衰えを気にしている人に、ぜひ気楽にやってみてほしいですね。若い頃は、身体を動かしていたけどブランクがあるというかつての僕のような人にも五感を使う気持ちよさを思い出してほしい。分厚さを驚かれるほど今回の本に詰め込み、この一冊を読めば分かるようにしているので参考にしてみてください。

newsweekjp20250527053251.jpg


『歩くを楽しむ、自然を味わう フラット登山』
 佐々木俊尚[著]
 かんき出版[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


●取材・執筆:一ノ瀬 伸(いちのせ・しん)
ライター。1992年、山梨県市川三郷町生まれ。立教大学社会学部卒業後、山梨日日新聞記者、雑誌「山と溪谷」編集者などを経て2020年からフリーランス。時事やインタビューのほか、旅や自然、暮らし、精神などに関する記事を執筆している。

ニューズウィーク日本版 ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月24号(2月17日発売)は「ウクライナ戦争4年 苦境のロシア」特集。帰還兵の暴力、止まらないインフレ。国民は疲弊し、プーチンの足元も揺らぐ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ブリヂストン、今期純利益見通しは3.9%増の340

ビジネス

午後3時のドルは153円前半へ上昇、高市政権の姿勢

ビジネス

米アルファベット社債、投資家保護条項欠如に懸念の声

ワールド

米銀行規制当局、大手行向け新「バーゼル」規制案に前
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 8
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 9
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 10
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中