最新記事
環境問題

ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】

Parkinson's Disease Linked to Living Near Golf Courses—New Study

2025年5月12日(月)16時45分
ホリー・シルバーマン
ゴルフ場

immeemz-pixabay

<先行研究でも農薬に含まれる化学物質と神経変性疾患との関連が示されているが、発症率がほぼ2倍という最新の研究結果について>

ゴルフ場から1マイル(約1.6km)以内に住む人は、6マイル(約9.7km)以上離れて住む人に比べて、パーキンソン病を発症するリスクが126%高い──

そのような研究結果が、「米国医師会雑誌(JAMA)」に掲載された最新論文で示された。


本研究を主導したブリタニー・クルジャノフスキ博士(Dr. Brittany Krzyzanowski)らによると、ゴルフ場周辺の水が飲料水として供給されている地域では、特に影響が大きいという。使用されている農薬が発症数に関連している可能性があると指摘する。

パーキンソン病は神経変性疾患の1つで、全世界で約1000万人、アメリカだけでも約110万人が罹患しているとされる。現在、治療法はあるが、根治療法は存在していない。

研究チームは、アメリカ全土のゴルフ場の所在地データと、「アメリカ地質調査所(USGS)」のデータを組み合わせ、ウィスコンシン州とミネソタ州の27郡にまたがる224の水道供給地域を対象に分析を行なった。

また、「ミネソタ州地理情報局」の提供による711の公共の井戸のデータも活用し、ゴルフ場への距離と発症率の相関関係を調査。1991年から2015年の間に、ミネソタ州オルムステッド郡で発生したパーキンソン病の症例は450件に上った。

「ゴルフ場の近隣住民のパーキンソン病の発症率は一貫して高く、その距離が遠くなるほどリスクは直線的に低下していた。ゴルフ場から遠くに住む人ほど、発症リスクが低かった」

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インタビュー:経済対策、補正で20兆円必要 1月利

ワールド

ドイツ財務相「貿易競争には公正な条件が必要」、中独

ワールド

韓国、北朝鮮に軍事境界線に関する協議を提案

ビジネス

英生保ストレステスト、全社が最低資本要件クリア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中