最新記事
健康

MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】

Scientists Find MRI Scans Could Leave Toxic Metal Behind in Your Body

2025年4月27日(日)07時25分
レイチェル・オコナー

シュウ酸が造影剤から微量のガドリニウムを析出させ、ナノ粒子を形成し、複数の臓器の細胞に浸潤することが実験で確認された。ワグナー教授は次のように述べる。

「金属の反応性を考慮すると、MRI検査を受ける際には、ビタミンCは摂取しないほうがよいでしょう」


 

また、人それぞれの「代謝環境(metabolic milieu)」によって、ナノ粒子の形成傾向が異なることについても指摘。一部の人に深刻な症状が出るのは、ガドリニウムと結合しやすい体質が影響している可能性を指摘する。

ガドリニウムが体内に残っていた患者のうち、約半数は造影剤を一度しか投与されていなかったことが本研究で判明している。

異物である金属ナノ粒子に細胞が反応し、体全体に危険信号を送っているなど、何らかの要因が反応を増幅させている可能性を示唆しており、その仕組みの一端を解明する糸口になるとみている。

現在、ワグナー教授の研究チームは造影剤のリスクを高めている要因を特定するため、血液、尿、爪、毛髪サンプルを用いて、ガドリニウムの蓄積を検証するための国際的なデータベースの構築を進めている。


【参考文献】
Henderson, I. M., Benevidez, A. D., Mowry, C. D., Watt, J., Bachand, G. D., Kirk, M. L., Dokładny, K., DeAguero, J., Escobar, G. P., & Wagner, B. (2025). Precipitation of gadolinium from magnetic resonance imaging contrast agents may be the Brass tacks of toxicity. Magnetic Resonance Imaging, 119.

ニューズウィーク日本版 トランプvsイラン
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは143円後半へ下落、月末のポジショ

ビジネス

高島屋、今期営業益予想13%減の500億円に下方修

ビジネス

高島屋、150億円を上限に自社株買い 発行済み株式

ビジネス

アングル:日本の「事故物件」、海外投資家も注目 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    メーガン妃への「悪意ある中傷」を今すぐにやめなく…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 7
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 8
    自撮り動画を見て、体の一部に「不自然な変形」を発…
  • 9
    突出した知的能力や創造性を持つ「ギフテッド」を埋…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中