最新記事
健康

妊娠中にチリコンカンを食べると「糖尿病リスク」が減る可能性【最新研究】

Eat Chili During Pregnancy, Say Scientists—Here's Why

2025年4月22日(火)13時15分
ダニエラ・グレイ

研究チームはさらなる検証が必要だとしつつも、チリコンカンが妊娠中の健康維持に役立つ可能性のある食べ物として注目すべきだという。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」によると、妊娠糖尿病はアメリカで増加傾向にあり、2021年には妊婦の8.3%が発症。2016年の6%から増加している。


 

ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究では、全米健康調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)に参加した1397人の妊婦のデータを分析。

その結果、月に1回以上チリコンカンを食べた女性の妊娠糖尿病リスクは3.5%にとどまり、まったくチリコンカンを食べなかった女性のリスク(7.4%)の半分以下であった。

チリコンカンの健康効果について、研究チームはいくつかの成分の相乗効果に着目している。唐辛子の辛味成分であるカプサイシン、そして特にチリコンカンで使用される濃色の豆に含まれるフェノール化合物がその一例だ。

しかし、本研究は観察研究であるため、因果関係は特定できていない。さらにチリコンカンの種類や調理法には大きなばらつきがあるとして、現時点では、どの成分が影響しているのかは明確でないとウェン准教授は述べる。

それでも繊維質、難消化性デンプン(レジスタントスターチ)、植物化学物質(フィトケミカル)、そしてカプサイシンといった複数の成分が影響している可能性があるという。


【参考文献】
Wen, X., Makama, F., Buzby, R., Nguyen, J., Durnell, R., Ekhator, I., Chan, D., & Rideout, T. C. (2025). Moderate Chili Consumption During Pregnancy Is Associated with a Low Risk of Gestational Diabetes (GDM). Nutrients, 17(6).

ニューズウィーク日本版 豪ワーホリ残酷物語
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、「聖域都市」条例巡りボストン市を提訴

ワールド

フィリピンCPI、8月は前年比+1.5%に加速 予

ワールド

韓日米、15日から年次合同演習実施 北朝鮮の脅威に

ビジネス

日立、米国で送配電機器の製造能力強化 10憶ドル超
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中