バーゼル銀行監督委、銀行の気候変動リスク開示義務付けは各国判断に

主要国の銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は13日、気候変動関連リスクの開示を銀行に義務付けるかどうかは各国規制当局の判断に委ねると発表した。写真はブラジル・アマゾナス州のマナカプル近郊で昨年9月撮影(2025年 ロイター/Jorge Silva)
[ロンドン 13日 ロイター] - 主要国の銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は13日、気候変動関連リスクの開示を銀行に義務付けるかどうかは各国規制当局の判断に委ねると発表した。同時に開示する場合の枠組みを発表したものの、各国の自主判断となった背景には1月に返り咲いたトランプ大統領が率いる米国が気候変動対策に後ろ向きなことがある。
枠組みでは、銀行が気候変動リスクを判断するには洪水や温暖化のような「物理的リスク」と、農業に影響を与える気候政策の変化を含む「移行リスク」の両方を考慮し、どのように対応する方針なのかを示すように求めた。BCBSは「気候関連データの正確性、一貫性、質は進化しており、最終的な枠組みには合理的な水準の柔軟性を盛り込む必要がある」との見解を示した。
世界各国の政府と銀行規制当局は気候変動を規制や中銀の政策にどれだけ組み込むべきかを議論している。BCBSは20カ国・地域(G20)などの銀行規制当局と中央銀行で構成しており、アナリストらは今回発表された枠組みが今後の意思決定を形作ることになるとの見通しを示した。
欧州中央銀行(ECB)などは気候変動リスクの管理を重要な優先課題とし、取り組みを強化している。一方、トランプ米政権下では気候変動対策への取り組みを縮小したり、棚上げしたりしている。
米連邦準備理事会(FRB)は1月、金融システムでの気候リスクの監視方法を模索する中銀および規制当局の国際組織「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」から脱退した。
BCBSが発表した枠組みは、2023年11月に発表された原案に基づいて協議し、変更を加えた。銀行が資本市場活動や取引に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を報告する義務を削除した。