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コレステロールが老化を遅らせていた...スーパーエイジャーの「長寿体質の秘密」とは?

2025年3月21日(金)08時50分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)


■被験者のセンテナリアンの約18%が、高HDL(善玉)値と長寿に関係する「コレステロールエステル転送タンパク質遺伝子(CETP)」という遺伝子に、特殊な多様体を持つ。この多様性はCETPの活動を妨げる。

■被験者のセンテナリアンの約20%が、HDL(善玉)コレステロールを運ぶAPOC3遺伝子の「プロモーター」領域(遺伝子の発現をオン・オフする「スイッチ」)に変異を持つ。そのため善玉コレステロール値が高くなり、中性脂肪の数値が低くなる。

この2つの多様性は、心臓血管の健康と寿命についての理解を深めてくれる。そしてうれしいことに、わたしたちの発見は2つの製薬会社による阻害薬の開発に役立っている。近い将来、だれもが健康効果と長寿を味わえるように、これらの多様体を模倣する薬がきっと現れることだろう。


ニール・バルジライ (Nir Barzilai)
1955年生まれ。アルバート・アインシュタイン医科大学教授。同大学老化研究所設立者。ポール・F・グレン老化生物学研究センター、およびアメリカ国立衛生研究所(NIH)ネイサン・ショック・センター加齢基礎生物学部門のディレクターも務めている。専門は内分泌学。100歳を超える長寿家系を調べ、ヒトの長寿遺伝子を世界で初めて発見した。長寿研究の世界的権威として、全米老年問題研究連盟(AFAR)「アーヴィング・S・ライト賞」など数々の賞を受賞している。本書が初の一般書となる。


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 『SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる
  ニール・バルジライ/トニ・ロビーノ[著]
  牛原 眞弓[訳]
  CCCメディアハウス[刊]


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