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ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】

Scientists Warn of Harmful Release From Tea Bags

2025年1月11日(土)09時30分
ハティ・ウィルモス

その後、このプラスチック粒子に染色を施し、体内でどのように相互作用するかを追跡するためにヒトの腸から細胞を取り出した。すると24時間後、腸内で粘液を生成する特定の消化細胞が、大量のマイクロプラスチックやナノプラスチック粒子を吸収していることが判明したのだ。

さらに、プラスチックはこれらの細胞核(遺伝情報を保存している場所)にまで到達していることが分かった。


 

ナノプラスチックが「生物学的障壁(cross biological barriers)」を容易に通過して血液に入り、さまざまな臓器に影響を与える可能性があるとダウデル教授は述べる。ナノプラスチックがミトコンドリア(細胞の「エネルギー工場」)やDNAをかく乱し、がんのリスクを高める可能性があるのだ。

「発がん性は、遺伝毒性(Genotoxicity)やDNAの損傷に深く関係しています」とダウデル教授は述べる。また、同じくバルセロナ自治大学の研究者であるアルバ・ガルシア=ロドリゲス氏はプラスチック汚染に関して本研究が「人間の健康への影響を探るために非常に重要」であるという。

「私たちはつねにマイクロプラスチックやナノプラスチックにさらされています。紅茶を淹れるという行為でさえ、何百万ものナノプラスチック粒子を摂取するのに十分なのです。ティーバッグは一例に過ぎませんが、他にも想定し得る経路は何千もあります」とダウデル教授は付け加える。

研究チームは電子顕微鏡、赤外線技術、レーザー、ナノ粒子トラッキング解析法(NTA)など、最新技術を駆使してマイクロプラスチックを追跡した。その上で食品接触材料としてのプラスチック汚染を最小限に抑え、公衆衛生を目的とした規制や政策に本研究が役立つと述べる。

この研究結果を踏まえて、使い捨てプラスチックの使用規制に一翼を担うことを望む一方で、マイクロプラスチックやナノプラスチックが存在している限り、プラスチック汚染を完全になくすことが困難であることもダウデル教授は指摘する。


【参考文献】
Banaei, G., Abass, D., Tavakolpournegari, A., Martín-Pérez, J., Gutiérrez, J., Peng, G., Reemtsma, T., Marc, R., Hernández, A., García-Rodríguez, A. (2024). Teabag-derived micro/nanoplastics (true-to-life MNPLs) as a surrogate for real-life exposure escenaris, Chemosphere, 368 (143736).

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