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「他人の便を患者の腸に入れると、がんが治る?」 東大名誉教授が科学的に解説する納得の健康長寿術

2024年6月24日(月)16時37分
石浦 章一(理学博士)*PRESIDENT Onlineからの転載

疲労物質といわれている乳酸がたまると同時に、タンパク質も脂肪も分解されるのですが、その分解される分は非常に少ないことが分かっています。

一方、有酸素運動をすると、時間がたつとともに脂肪が燃えていくのです。エネルギーとして脂肪を使うようになります。だから有酸素運動をしなさいと言われるのです。出てくる乳酸の量も有酸素運動のほうが高強度の運動に比べて少ないことが分かっています。

【食事でエネルギーを蓄える「グリコーゲンローディング」】

もう1つ運動で気をつけなければいけないことがあります。それは、例えばマラソンの前の日とか2、3日前にはどうしたらいいかというと、からだにエネルギーを蓄えないといけないのです。

からだにエネルギーを蓄えるとはどういうことかというと、からだにグリコーゲンを蓄積させる、つまりエネルギー源であるグリコーゲンを筋肉に蓄積させることが必要になってくるのです。そのためにどうしたらいいか。これをグリコーゲンローディングというのです。

グリコーゲンをからだにロードする、蓄積させるという意味です。

方法は、マラソンの2日前くらいから、お餅主体の炭水化物を摂ることが大切になります。よく言うでしょう、お餅を食べるとおなかに力が入るというのは、そういうことですね。

だから長い試合のときとか、朝から1日中試験を受ける前には、ご飯の量を増やす。分かりますね。油分はあまり摂らないようにして炭水化物を増やす。例えばおにぎりを1個、多く食べるとか、夜に炭水化物をちょっと摂ることをお勧めします。

通常の食事よりも糖質をたくさん摂るようにすると、グリコーゲンローディングになることを覚えておいてください。だからテスト日の前は、少しご飯の量を多くするといいと思います。

【注目の腸内細菌、他人の便を移植して病気を治す方法も】

今、科学の世界で話題になっている、腸内細菌と体力との関係をご紹介したいと思います。実は腸内細菌がからだのいろいろなところに効いていることが明らかになってきました。

もちろん体調にも良いだけではなくて、他の病気にも効いている。脳にも効いているのではないか。腸内細菌が出す何かの物質によって、脳の能力が変わってくるのです。これを脳腸連関と言います。

皆さんも、ストレスで胃が痛くなったり、怒りではらわたが煮えくり返る経験をしたことがあるのではないでしょうか。

腸内細菌で興味深い例があるので、ちょっとご紹介したいと思います。それは他人の便を移植する話です。便移植と言うと気持ちが悪いので腸内細菌叢移植と言われています。

とにかく腸内細菌を移植すると、潰瘍性大腸炎といわれている難治性の炎症性腸疾患が治った、という報告がされました。その他に、アレルギーを防止したり、ダイエット目的でも他人の便を移植すると良い、など多くの報告が最近なされるようになりました。

【他人の便をろ過して患者の腸に入れたら、がんまで治った?】

でも、考えてみてください。便を移植するのは気持ち悪いですよね。便を移植するというのは、便を口から飲むのか、便をお尻から入れるのか、どちらだと思いますか? 

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