最新記事

AI

人類に残される労働は3つだけ Chat GPTが教える「残る仕事・消える仕事」

2023年4月7日(金)12時45分
岡田充弘(クロネコキューブ代表取締役) *PRESIDENT Onlineからの転載

提案書作成のドラフト作成に活用

次に「ドラフト作成」です。論文や提案書の基本構成をまとめる時などにChat GPTを使うと、Googleのような検索エンジンと違って、文脈に沿った文章を作成してくれるのでとても助かります。

ただ、先ほどもお伝えした通り、現時点では回答精度にムラがあるため、ドラフト作成くらいで考えておくのが良いでしょう。ドラフトが出来たら内容の裏とりを行い、さらに自分独自の視点を付け加えるなどして、成果物を完成させていくことをお勧めします。

また、ドラフト作成という意味では、文章以外にもプログラミングにも使えます。単純なコーディングであれば簡単にこなせてしまえるので、初級レベルのIT技術者の仕事は、将来Chat GPTに置き換えられていく可能性も否めないでしょう。

視野が広がる使い方

最後は「異視点の抽出」です。一瞬Chat GPTと異視点ってどういう意味? と思われた方もいるかもしれません。

文字通り、自分とは異なる意見、気づいていない視点を引き出すためにChat GPTを使おうという試みです。なので、あえて意見の分かれる問い、オープンクエスチョンを投げかけてみるのです。

たとえば、「AIは人の仕事を奪うという意見についてどう思う?」といった感じです。

図表3 オープンクエスチョンで異視点の抽出を狙う

図表=筆者作成

回答はもちろん想定内のものもあるのですが、中には珍しい回答が得られる場合もあります。異なる意見に触れる、複数の視点を持つことは、自分の引き出しや視野を広げることにつながります。個人的にも、この「異視点の抽出」が最も気に入っている用途かもしれません。これらはGoogleのようなキーワード検索からは得られない体験であり、ちょっとした博学の友人と雑談しているような錯覚にさえ陥ります。もしかすると、Chat GPTがあれば飲み会の回数が減るかもしれませんね。

以上、話題のAIチャットボット「Chat GPT」についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか?かつてインターネットの登場によって知識の民主化が起きましたが、今回のAIチャットボットの登場は知恵の民主化を一気に進める可能性を秘めています。それは、従来型の教育システムで培われた人間の知性が、人間が作ったアルゴリズムに代替されていく未来社会をすら想起させるものです。水増しされた知性が溢れる世の中で、いかに自分らしくいられるか、感性を研ぎ澄ませていられるか、そんなことが今まさに問われているような気がします。

岡田充弘(おかだ・みつひろ)

クロネコキューブ代表取締役
外資系コンサルティング会社を経て謎解き企画会社『クロネコキューブ』を設立。700にもおよぶパソコン時短ワザを集めてマニュアル化している。著書に『爆速パソコン仕事術』(ソシム)『結果もスピードも手に入る 神速スマホ仕事術』(すばる舎)『やりたいことを全部やれる人の仕事術』(PHP研究所)『やめるだけで成果が上がる仕事のムダとり図鑑』(かんき出版)『ビジネスマナーと仕事の基本 ゆる図鑑』(監修)(宝島社)ほか。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、賃金やサービスインフレを注視=シュナーベル

ビジネス

焦点:連休中の為替介入警戒、取引減で再動意も 米当

ビジネス

LSEG、第1四半期決算は市場予想と一致 MSとの

ワールド

北朝鮮製武器輸送したロシア船、中国の港に停泊 衛星
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中