最新記事

睡眠

CEOからの相談で多いのは「悪夢」──悪夢治療がよいリーダーシップを生む

How to Have Better Dreams

2022年6月24日(金)12時55分
ロビン・エーブラハムズ(ハーバード・ビジネススクール研究員)、ボリス・グロイスバーグ(同スクール教授)
睡眠

OSAKA WAYNE STUDIOS/GETTY IMAGES

<単なる「悪い夢」と「悪夢」は異なる。しかも、夢は抑圧された願望でも、何かの象徴でもない。夢と睡眠の質を改善する「悪夢治療」の4つのテクニック>

ビジネススクールで現役企業幹部向けの講座を担当していると、企業戦略よりも自分が見た悪夢について相談に来るCEOが少なくないことに驚かされる。精神が打ちのめされ、怖いニュースばかりを見せられていると、悪夢や不快な夢を見るのも無理はないのかもしれない。

心身の健康のために睡眠が重要であることは、リーダーたちの間でよく知られるようになっている。しかし、悪夢や不快な夢は睡眠の質を低下させる。幸い、悪夢を減らし、もっとよい夢を見るためにできることは、一般に思われているよりたくさんある。

ぼーっとしている時間に、あなたはどんなことを考えるだろうか。処理すべき課題のこと? それとも国際ニュース? あるいは、身の回りの人たちのこと? 過去の出来事? アートや音楽や文学について? いずれにせよ、それはあなたが夢で経験するテーマでもある。

あなたが見る夢である以上、その夢があなたの関心事や経験、脳裏に抱くイメージによって構成されるのは当然だ。夢は眠っている間に見るものなので、そうした要素がごちゃごちゃに入り交じり、とっぴな内容になることも多い。

夢は、抑圧された願望や欲求の反映などではないし、隠された意味があったり、何かを象徴していたりするわけでもない。夢が取るに足らないものだとか、なんの情報ももたらさないと言うつもりはないが、特定の夢を見ることが避けられないと決め付けるべきではないのだ。

夢は大きく3つの種類に分けられる。

■個人的な夢 私たちが見る夢の75~80%は、自分の日常の経験や関心事に関わるものだ。最近学んだばかりの、あるいはいま学びつつある新しい情報やスキルに関する夢を見ることも多い。学習のプロセスにおいて睡眠が大きな役割を果たしていることを考えると、この点は意外でない。

研究によると、眠りに就く前にコンピューターゲームをプレーすると、ゲームの世界と同様の夢を見ることが多いと分かっている。イタリアで新型コロナ関連の夢について調べた研究では、家族の死や病気などに関する夢より、コロナ禍で求められる新たな行動様式に関する夢を見るケースが多かったという。

典型的な夢 高い所から落下したり、追い掛けられたり、性的な体験をしたり、金縛りにあったり、空中を飛んだり、歯が抜けたり......といった多くの人に共通する夢のこと。この種の夢には重要な意味が隠れていると思われがちだが、そうした夢を生み出すのは生物学的要因だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

LSEG、金融データをチャットGPTに統合へ AI

ビジネス

午後3時のドルは155円前半、日銀利上げ見通しで一

ワールド

香港当局、高層住宅火災受け防護ネット全面撤去へ

ワールド

インドネシア、採掘規則違反企業を処分へ 洪水で死者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中