最新記事

ヘルス

唐揚げ、豚カツ、フライ......「長生きするなら揚げ物を食べなさい」 在宅医療の第一人者が断言する理由とは

2022年3月11日(金)10時40分
佐々木 淳(医療法人社団悠翔会理事長・診療部長) *PRESIDENT Onlineからの転載

ただ、カップラーメンやカップ焼きそばは、たんぱく質が足りません。

でも、「サバ缶」でも一緒に食べれば、カロリーもたんぱく質もけっこう理想的な量を摂取できることになります。

あるいは、カップラーメンとゆで卵を一緒に食べたり、カップ焼きそばに生卵を落として食べたりしてたんぱく質を「ちょい足し」していくのもいいかもしれません。

日本の高齢者は全体に"低体重"傾向にある

ここでちょっと、日本の高齢者がいかにやせているか、医学的データを元に状況をチェックしてみましょう。

太っているのか、やせているのかの基準となる指標にBMIがあります。これは身長(メートル)を2乗した数字で体重を割ると計算できます。一般的にはこのBMIが25を超えると「肥満」、18.5を下回ると「やせ」、中でも22が最も病気のリスクが低くなることから「標準体型」とされています。

全国の訪問看護を利用している高齢者のBMIを調査したところ、BMIが18.5もない「低体重」に該当する人が60%にも上ることが明らかになりました。中でもBMI16未満の「重度のやせ」の人が28%もいたのです。

女性の場合、BMIが16未満だと、BMI22の人に比べて死亡リスクが2.6倍にアップすることがわかっています。BMI18.5でもかなりやせ型ですが、BMI16となると、もう筋肉まで落ちてガリガリにやせた状態です。

私は、こうした日本の高齢者の低体重傾向を"危険なレベル"と考えています。

食事量が不足しているために、「低栄養→筋肉量低下→肺炎・骨折→入院→さらに筋量低下」という悪循環を自分から招き入れてしまっているのです。

「理想のBMI」は30〜59歳のデータに基づいている

低体重のリスクがピンとこない方もいるかもしれませんが、高齢者の場合、「やせていると死亡リスクが高く、太っていると死亡リスクが低くなる」ことが多くの研究で明らかになっています。アメリカで行なわれた研究でも、高齢者の死亡リスクはBMIが低くなるほど高まり、高齢者のBMIは27のちょい太めくらいが最も死亡リスクが低いとわかっています。

BMI27ということは、つまり肥満(1度)ということになるのですが、高齢者の場合、標準体型(BMI22)の人と比べて死亡リスクが29%低下することが報告されています。高齢者の場合、かなりの肥満であるBMI40の人でさえ、標準体型の人と死亡リスクがほぼ同じなのは驚きですね。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特

ビジネス

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 1

ワールド

韓国、第2次補正予算案を19日に閣議上程へ 景気支

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中