最新記事

ヘルス

「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに起きた変化とは

2021年11月28日(日)13時50分
阿古真理(作家・生活史研究家 ) *東洋経済オンラインからの転載
オートミールをごはんの代わりに食べる

オートミールをごはんの代わりに食べる「米化」をきっかけに、オートミールを食べる人たちが増えている karinsasaki - iStockphoto

20~30代を中心に、オートミールが大流行中だ。きっかけは2020年初め、「手軽に食べられる健康食」、とユーチューバーたちが配信したこと。SNSで情報が拡散して人気が高まり、今年になって、日本ケロッグや旭松食品なども市場に参入している。

以前からシリアルは一定の支持を得、最近はグラノーラが人気になっていたが、今なぜオートミールに注目が集まっているのだろうか。愛用する人たちの声を聞いたところ、単なる健康志向にとどまらず、食文化自体の変化をうかがわせる、3つの要因が浮かび上がってきた。

「米化」で人気に火がついた

「オートミールにハマっている人は、私の周りで多い」と話すのは、23歳の会社員、鈴木胡桃さんだ。

「一番多い食べ方が、水とスープの素やお茶漬けの素を加え、レンチンする方法で、わかめスープの素とごま油を組み合わせる人もいます。癖がある、と気にする友人はカレードリア風にする、キムチチャーハン風にするというように、味の強いものを組み合わせています」

シリアルは牛乳をかけて冷たい状態で食べるイメージがある。一方、オートミールの場合、水と混ぜて電子レンジで加熱すると、お米のご飯のような食感になり温かい状態で食べられる。オートミール好きが「米化」と呼ぶこの食べ方が広まったことが、人気の第一の要因だ。鈴木さんが説明する食べ方も、米化のバリエーションと言える。

自身はそれほどハマっているわけではない、と言いつつ、鈴木さんは「指原莉乃ちゃんが実践している、ツナと納豆を加え醤油味にする食べ方を試したい。残念ながらうちの近所では売っていないのですが、牛乳をかけて電子レンジで温めるとリゾット風になる、日清シスコのホットシリアルも食べてみたいです」と話す。

「男性は、1人暮らしの食事作りがラク、と始めた人が多いですが、女性はふだんからきれいにしている人が、コロナ太りを気にしてダイエットしよう、と食べていることが多いです」と鈴木さん。中にはウエディングドレスを美しく着こなしたい、と短期集中的にオートミールでダイエットをする人もいるという。

オートミールレシピ本も続々と出版されている。今年8月に刊行された『オートミール ヘルシー&ダイエットレシピ』(料理:牛尾理恵、監修:松生恒夫)によると、グラノーラなど他のシリアル食品と異なり、オートミールはオーツ麦(燕麦)以外の材料が入っていないので、主食からおやつまで幅広い料理へ応用が利く。

ビタミンB1、B2、鉄、カルシウムが豊富で栄養価は高い。糖質は少ないが、食物繊維は白米の19倍も含まれており、中でも豊富な水溶性食物繊維のβ-グルカンは、肥満の原因となる血糖値の急上昇を抑える作用がある。ダイエットに向くことが、第2の要因だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中