最新記事

ビジネス英会話

ビジネスシーンで求められるのは「説得できる」英会話力

2019年1月22日(火)18時40分
ニューズウィーク日本版編集部

english170314-alc.jpg

企業が求める英会話力は変化していると語るアルクの吉田氏

訪日外国人が日本人に求める「おもてなし」とは

2020年の東京五輪を控え、訪日外国人を英語で「おもてなし」しようという動きも英会話学習のトレンドとして広がりを見せている。アルクでは、2017年1月に通訳案内士の資格を持つ通訳ガイドを講師に迎え、おもてなしをテーマにしたセミナーを開催。訪日外国人を接客するにあたり、どのようなマインドやスキルが必要なのかを学ぶものだ。

「ホテルやレストランといったサービス業の企業向けに企画したが、実際に参加された方の半数以上は別の業種の人事関係者」と、吉田氏は話す。海外展開している企業が外国人の社員をもてなしたい、あるいは同じ職場で働いている外国人の同僚をもてなしたいというニーズも増えている。

セミナーには、東京の深川地区に伝わる「深川おどり」を広める民間団体も参加した。この団体は、訪日外国人から着物や振付の意味といったディテールの説明を求められることが多いという。おもてなしの根本として大切なのは、相手に何をどのように説明するのかという点。本当に求められているおもてなしと、日本人が考えるおもてなしには隔たりがある。

例えば旅館での食事の場合、日本人は目の前に並べられたたくさんの品数の料理に対してホスピタリティーを感じるが、訪日外国人が知りたいのは日本の食文化そのもの。どのような食材を使って、どのように調理された料理かを説明することに意味がある。笑顔で頭を下げるだけのおもてなしから、日本の魅力を正しくアウトプットするコミュニケーションへと、求められるものはシフトしている。

ここでも要となるのは、スピーキング能力と同様に異文化への理解だ。また、ローコンテクスト文化の国では会話の積極性も重視されるため、吉田氏は「英会話の能力を高めるための要素の一つは積極性」と言い切る。その上で、相手にどう伝えるのか、説得するにはどうするべきか、より効率的に伝えるにはどう話すのかといったテクニックが問われる。

今や職場に外国人が配属されることも珍しくなくなり、あらゆる業種で海外進出を目標に掲げる企業が増加している。英語を話すことの重要性は高まるばかりだ。ロジカルスピーキングと英語でのおもてなしという、英会話学習の二大トレンドは、今の日本のビジネスパーソンが直面する仕事上のニーズの変化を如実に反映している。

<この記事は2017年3月14日掲載記事の再掲載です>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中