最新記事

ビジネス英会話

ビジネスシーンで求められるのは「説得できる」英会話力

2019年1月22日(火)18時40分
ニューズウィーク日本版編集部

ビジネスシーンで求められるのは相手を説得できるロジカルスピーキング vm-iStock.

<日常業務の英語力が重視されるようになった現在、ビジネスシーンで求められる英会話のニーズにも変化が起きている>

一昔前まで、日本のビジネスパーソンにとって、英語力は読み書きができれば十分とされていた。しかし、日本企業で英語の社内公用語化が進むことなどから、日々の仕事で求められる英会話力は確実に変わりつつある。英会話スクールの最新事情を取材した。

相手を説得できる英会話力

2010年、楽天とファーストリテイリングが社内公用語を英語へ移行することを発表し、両社ともに当初の予定通り2012年から実施された。2015年には、本田技研工業が2020年を目標とする英語の社内公用語化を発表した。背景にあるのは、ビジネスシーンのグローバル化。こうした流れは企業の新卒採用時の選考試験にも影響し、TOEICの点数を重視する傾向に拍車がかかった。

英語学習に関するソリューションを提供しているアルクで、企業向けの英語研修を担当する企画営業部の吉田圭・営業統括部長は、現在の英語学習を取り巻く状況についてこう話す。「今、ビジネスパーソンに求められる英語力には2種類あり、一つは人事の職務能力要件におけるTOEICの点数。例えば、管理職者なら700点以上必要といったもの。もうひとつは、スピーキング能力に代表されるアウトプットの力だ」。

特に注目されているのが後者のスピーキング能力。一昔前までなら、メールやファックスなどで対応できたが、今はテレカン(電話会議)やスカイプなどでコミュニケーションできる英会話力が問われている。また、特定の業界だけではなく、サービス業をはじめとしたさまざまな業種で英語を話す力が求められているのも特徴と言えるだろう。

英語が特別なスキルではなくなりつつある今、スピーキング能力にもより高度な内容が重視されている。英語を論理的に話すことで説得力を増したり、プレゼンテーション能力を高めたりするロジカルスピーキングがそのひとつだ。企業の要望に応じてカスタマイズした研修を用意しているアルクでは、「日常会話に問題はないが、より説得力を身につけたい、もっと効率的に話せるようになりたいといった要望が多い。この2~3年でこうした語学のテクニックを提供する研修が増えた」と、吉田氏は話している。

日本人がロジカルスピーキングを不得意とするのには理由がある。日本の社会は、あいまいな表現を好んだり、場の空気を読んだりすることで意思の疎通が成り立つハイコンテクスト(高文脈)文化だからだ。聞き手の理解力を期待するあまり、アウトプットする情報量が圧倒的に少ない。

これに対して欧米の国々は、シンプルな理論に基づき、直接的で分かりやすい表現を好むローコンテクスト(低文脈)文化。言葉の背景や脈絡ではなく、言語そのものに依存するため、会話での情報量も多い。より細かく論理的に会話を構築していかないと、言いたいことを相手に伝えることができない。こうした異文化を理解した上でのスピーキング能力が、ビジネス英会話では不可欠になっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同

ワールド

英ロンドンで大規模デモ、反移民訴え 11万人参加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中