韓国人は「極端」で「強烈」?...韓流エンタメ旋風の理由はここにあり、世界中で検索される「45.6」の意味とは?

WHY IS “SQUID GAME” SO POPULAR?

2025年7月9日(水)17時28分
ジョーダン・ホフマン(映画評論家)

視聴者に必要な2つの注意点

その強烈さこそ、『イカゲーム』から伝わってくるものだ。この作品は極めて荒唐無稽だが、自宅のソファで一気に見るにはうってつけの作品だ。ゲームの演出は恐ろしく巧妙。登場人物に感情移入し始めると、誰が次のレベルに進み、誰が機関銃で撃たれて倒れるのか、つい夢中になってしまう。

ただし、この作品を楽しむには次の2点が必要になる。


第1に自分を責める感情を一切持たないこと。精神的に追い詰められていく人々を見ているからといって、自分がサイコパスであるわけではないことを自らに納得させなくてはいけない。

『イカゲーム』はグロテスクな描写を好んで見る人々にとってはごちそうだが、同時に風刺作品でもある(少なくとも反資本主義的なメッセージを掲げている)。

第2に、細かいことをいちいち気にしないこと。奇妙なマスクを着けた人々や、他人の苦しみをのぞき見ることを趣味とする異常者たちが世界中から集まった秘密の島がどうやって築かれたのか──その詳細が説明されることはまずない。仮に説明があっても、支離滅裂なものだろう。

しかし荒唐無稽に思えるコンセプトも、実はそれほどとっぴではないのかもしれない。

大恐慌のさなかだった1930年代のアメリカでは、実際に「ダンスマラソン」なるものが定期的に開催されていた。失業中の人々が観客の好奇の目にさらされながら、賞金獲得を目指して疲れ果てるまで踊り続けるという催しだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ首都にドローン・ミサイル攻撃、2人死亡

ワールド

米ロ外相が会談、ウクライナなどで率直に意見交換 対

ビジネス

米テスラ、11月に年次株主総会開催

ビジネス

セブン&アイCFO、クシュタールとの協議「最終的な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 5
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    【クイズ】 現存する「世界最古の教育機関」はどれ?
  • 9
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 10
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 7
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中