最新記事
映画

全世界では100万人の会員が...『サウンド・オブ・フリーダム』の映画スタジオが密かに築く「キリスト教映画帝国」の実態

Angel Studios Builds Christian Film Empire Outside Hollywood System

2025年6月20日(金)17時02分
メーガン・カートライト
映画『サウンド・オブ・フリーダム(Sound of Freedom)』のポスター

Henry Saint John-shutterstock

<人身売買をテーマに「Qアノン的」との批判も受けつつも映画を大ヒットさせた「エンジェル・スタジオ」。会員制コミュニティ「ギルド」メンバーの投票で企画が決まる、驚きのシステムに迫る>

映画『サウンド・オブ・フリーダム(Sound of Freedom)』で一躍注目を集めた「エンジェル・スタジオ(Angel Studios)」が、ハリウッドの主流とは一線を画しながら、見過ごされがちな「信仰に根ざした観客層」に焦点を当て、映画業界に挑戦している。

映画『サウンド・オブ・フリーダム』予告編


2013年にニール・ハーモン(Neal Harmon)とその兄弟ジェフリー、ダニエル、ジョーダンによって設立されたこの独立系のキリスト教メディア企業は、子どもたちに前向きなコンテンツを見せたいという思いから生まれた。

【関連記事】小児性愛者や人身売買業者が登場する『サウンド・オブ・フリーダム』は派手なQアノン映画か? まともな批評に値する作品ではない理由

共同創業者でコンテンツ責任者を務めるジェフリー・ハーモン(Jeffrey Harmon)は本誌の取材に対し、「ハリウッドは信仰に関するコンテンツにアレルギー反応を示している」と語り、自社が成功している理由のひとつだと指摘している。

ハリウッドモデルに挑む

エンジェル・スタジオが初めて大きな注目を集めたのは、2023年公開の『サウンド・オブ・フリーダム』だった。児童人身売買と闘うティム・バラード(Tim Ballard)の実話に基づき、ジム・カヴィーゼル(Jim Caviezel)が主演したこの作品は、当初の予想を大きく上回るヒットを記録した。

興行収入は当初2500万ドルと見込まれていたが、最終的には世界で2億5000万ドルを超え、独立系映画としては史上屈指の成功作となった。

「そこまでのヒットになるには、作品に"バイラルな力"が必要なんだ。ただマーケティングを仕掛けるだけでは、あそこまでの規模にはならない」とハーモンは本誌に語っている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、北米工場24日から通常稼働 半導体不足で生

ワールド

トランプ氏、対ロ制裁法案に署名へ 最終権限保持なら

ビジネス

エアバス、A350の大型派生機を現在も検討=民間機

ビジネス

ヤム・チャイナ、KFC・ピザハット積極出店・収益性
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中