最新記事
映画

「映画づくりもアルゴリズムの言いなりに...」アカデミー賞期待の話題作『ブルータリスト』が広げた独立映画の可能性

You Have to Be Inventive

2025年2月14日(金)14時38分
アレック・ネバラリー(ライター)

映画『ブルータリスト』場面写真

©DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVED. ©UNIVERSAL PICTURES

──もし私が駆け出しの映画監督なら、『ブルータリスト』は近年まれに見るエキサイティングな独立系映画だと思うだろう。若手の監督たちにアドバイスは?

私にとって特に大切なのは、はっきりした自分の声を安心して口にできるチームを作ることだ。今はアルゴリズムの言うなりにならない極端な映画を作ることがこれまでになく難しい時代だ。


監督がプロデューサーを兼任することが何より重要だと思う。製作はプロデューサーに任せ、監督は作品作りに専念すべきだと思い込んでいる若手は多い。

だが現実には、自分も製作に関わっていなければ、映画監督の仕事はできない。内容について妥協する必要はないけれど、手段については自分から進んで妥協すべきときもある。

ラインプロデューサーと予算をめぐって議論になった場合でも、自分の好きな形式で撮影できるなら、撮影期間が2〜3日短くなっても構わないと私なら思う。若い人たちには、何にどのくらい金がかかるか自分でじっくり調べることをおすすめしたい。

フィルムの単価やクレーンのレンタル料金を把握しておくことは本当に役に立つ。おかげで私も「予算的に無理だ」と言われても「大丈夫。これとこれを我慢すれば、このスケジュールで撮影用クレーンを使えるはずだ」と答えられるようになった。

製作費が100万ドルを超えるくらいの映画であっても、企画を複数の俳優に送るという手順が欠かせないことも学んだ。台本を送った何人もの俳優や代理人から断られ、何年もの時間がかかることもある。だがイエスと言ってくれる人は必ず出てくる。

資金集めの過程も含め、断られる覚悟は必要だ。でも用意した企画に自信があるなら、いつかはうまくいく。忍耐力が必要だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独鉱工業受注、7月は-2.9% 大口受注減で予想外

ワールド

対日関税で米大統領令、自動車2週間以内に15%に 

ビジネス

午後3時のドルは148円前半へ下落、米雇用統計待ち

ビジネス

対日関税で米大統領令、自動車2週間以内に15%に 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 10
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中