最新記事
音楽

「今やK-POPはマイナス成長」BTS擁するHYBEのバン・シヒョク 気になるBTSカムバックは?

2023年3月15日(水)21時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

SM買収、過去にも検討していた

2月以降、K-POP界を揺るがしたSMエンターテインメント(以下SM)をめぐるHYBEとKakaoによる買収合戦は3月12日、HYBEが買収中止を発表して突然の終了を迎えた。BoA、東方神起、少女時代など日本でも有名なアーティストを抱えるSMは、K-POP業界の最大手として君臨してきた事務所だけに、BTSの世界的ヒットで成長したHYBEがSMを買収することは、K-POPをめぐる勢力図が塗り替わったことを示すものとして、世界的な注目を集めた。果たしてこの買収合戦はどのようにして始まり、どのように集結したのだろうか?

「SM買収は個人的なビジョンではなかった。事実、HYBEがSMの買収を検討したのは2019年からだ。そのときから2度、買収を提案し断られたのは事実だ。HYBE内部でも賛否両論があった。賛成意見はグローバルなK-POP成長戦略の一環としてK-POPの規模を拡大させなければいけないというもの。反対意見はその費用をグローバル市場でより未来的、革新的に使うべきだというもの。HYBEが単にK-POPだけの会社ではないという意見だ」

こうしたなか、実は昨年後半にもSM買収をめぐる議論があり、そのときにはバン議長は反対していたという。

「その時は私が議長として未来志向的に考えたいと思い、今我々にSMが必要なのか分からないという結論を下した。私たちは買収から距離をおいて自分たちの成長戦略を進もうと考えた」

ところがそんなところにSMの創業者イ・スマン前総括プロデューサーから連絡がきたという。

「急にイ・スマン氏から連絡が来て、持分株の買収意向を聞かれた。その時社内で議論したが、過去の反対意見の要素がなくなったと判断して買収を進めるようになった」

イ・スマン元SM総括プロデューサーの持分株を買収することで、韓国芸能事務所の最大手を傘下に収めることできると考えたバン議長だったが、これは大きな誤算だった。SMの現経営陣、そしてSMの持ち株比率9.05%を所有したKakaoが猛反発し、市場での公開株買付合戦へと発展していったのだ。

「市場が過熱したり、考えた以上に激しい買収戦は予想外だった。長い時間、SMについて考えてきたために明確な価値があったが、ある時その価値を超えたと思った。買収をやめるべきか非常に悩んだ。HYBEには『HYBEらしさ』という言葉がある。買収合戦を継続することがHYBEな決定か、合理的な決定かについて考えた。そして株主価値を毀損し、市場秩序を揺さぶってまで買収合戦を継続することができないという結論を下した」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ビジネス

米シカゴ連銀総裁、前倒しの過度の利下げに「不安」 

ワールド

IAEA、イランに濃縮ウラン巡る報告求める決議採択

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中