最新記事

韓国映画

韓国映画『ベイビー・ブローカー』で是枝裕和監督が答えたかった問い

Compassion for Discarded Children

2022年6月23日(木)10時20分
大橋 希(本誌記者)

magc220622_babybroker2.jpg

ペ・ドゥナ(左)演じる刑事は当初、「ブローカーはとんでもない悪人で、母親も無責任」と考えているが © 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

──『そして父になる』や『万引き家族』に重なる作品だと思う。いわゆる「普通の家族」と違う家族を撮り続ける理由は?

家族を描くと決めているわけではなくて、自然とそういうトピックが自分の中に残り、形になっているが、理由を聞かれると......。そう見えるだろうなとは思いますけど、自分では家族を撮り続けている感覚はそんなにない。

血縁以外のものでつながることは繰り返し描いているが、今回はどちらかというと「命というものをどう考えるか」が中心にあった。家族に「閉じていく」のではなく、赤ん坊に関わった人が彼の今後をどう支えていくかに「開いていく」話だと思う。

──母親役のイ・ジウンさんがとてもよかった。韓国ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』を見て、役をオファーしたそうだが。

あのドラマの存在を教えてくれたのは、長年組んでいるカメラマンの山崎裕さん。彼もコロナ禍で韓流ドラマにはまったらしいが、『マイ・ディア・ミスター』の最終回に、映画『誰も知らない』の話を登場人物がするシーンがあるよと教えてくれて。それに「イ・ジウンが本当に素晴らしい」と言うので、観始めたら僕もはまっちゃんたんです。

全ての韓国ドラマが面白いわけではないし、ちょっとやり過ぎなところもある。その中で、ジウンさんの抑えた芝居は非常に印象に残った。

──ソン・ガンホさんは?

とにかく一緒にいて楽しい人。現場の雰囲気は彼が決めていく感じだった。自分自身に求める基準が高く、絶対に妥協しない。「監督の作品なので監督の判断を尊重します」と繰り返し言いながら、自分のシーンに関しては、僕が使っているテイクじゃないテイクをぜひ「見直してくれ」と。やんわりとですが(笑)。

編集も最後まで付き合ってくれて、例えば「自分のセリフを長く使っているところがあるが、あれは途中で切ったほうが余韻が出ると思う」とか、この場面はアフレコしたものを同時録音に戻したほうがいいとか、いろいろとアドバイスをくれた。

──話は変わるが、主宰する事務所の所属監督に女性が多いのには理由が?

3年に1回、監督を募集している。200人ほど応募があって審査で30人くらいに絞って面接をし、1人か2人採用する。応募者数は男女でそんなに変わらないが、残る30人のうち28人くらいが女性なんです。僕らはどこかの医学部と違って、男性にげたを履かせたりはしない(笑)。結果的に女性が増えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

南ア中銀、政策金利6.75%に据え置き 一段のイン

ビジネス

キオクシア、米サンディスクとの四日市工場の合弁期間

ワールド

12月鉱工業生産速報は前月比-0.1%=経産省(ロ

ワールド

東京コアCPI1月は+2.0%に鈍化、総合は24年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    致死率高い「ニパウイルス」、インドで2人感染...東…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中