誰もが応援したくなるBTSの成功物語 世界中のARMYに聞いた7人の魅力
WHY WE LOVE BTS

愛とリスペクトをもってお互いをいたわる姿も魅力の一つ(写真は2021年11月21日、アメリカン・ミュージック・アワードで3冠を果たしたメンバー) Mario Anzuoni-REUTERS
<ファンの間では「BTSに出会うのは、彼らを一番必要としているとき」という言葉がある。どんなに成功しても謙虚に努力を続ける姿勢、「私は私でいるだけで価値がある」というメッセージ──BTSにハマった理由を世界各国のARMYに聞いた>
6月13日にデビュー9周年を迎え、それに先立つ10日にはこれまでの集大成となる新アルバムを発表したBTS。彼らの世界的な成功は、ARMY(アーミー)と呼ばれる熱烈なファンの存在なくして語れない。世界の多くのファンにとって、韓国出身の7人組はそれまで見慣れていたミュージシャンとはいろいろな意味で違うはず。いったい彼らはなぜBTSにハマったのか。そのきっかけを聞いてみた。
「歌詞を読んで心の重しが取れた」
アシュリー・ブリッグス(36)/ポッドキャストのプロデューサー、ライター、今はフルタイムの母親業/米アリゾナ州
私は、0歳と2歳の子供を抱えた暮らしにもがいていた。孤独で、不安になったりダメな母親だと自分を責めたりと落ち込むことも多かった。子供たちが昼寝をしている間に台所の掃除をしていて、パニックに陥ったこともある。そのときBTSの「Paradise」が流れてきて、穏やかなメロディーと曲調にたちまち癒やされた。歌詞を見ると、その日の私に必要だった言葉が並んでいた。「立ち止まってもいい/理由も分からず走る必要はない/夢がなくてもいいんだ/少し幸せを感じられる瞬間があるなら」。これを読んで、心の重しが取れた気がした。
自分の価値を証明しようと必死になり、疲れ果てる必要はなかった。私が求めていたのは、子供たちの成長の基盤となるシンプルで快適な暮らし。BTSは、私は私でいるだけで価値があると教えてくれた。
BTSが他のアーティストと違うのは、メンバー同士の関係がとてもいいこと。お互いに対する愛とリスペクトが彼らの活動の中核にあり、理想的な友達関係をファンに教えてくれる。コロナ禍の下では、お互いをいたわる姿に心が安らいだ。
「自分を堂々と愛せるように」
ステファニー・レー(28)/法律事務所職員/スウェーデン
BTSが他のグループと違うのは、韓国人であることを誇りにしているところ。同じアジア人として、勇気付けられる。
私はスウェーデンに移住したベトナム人夫婦の娘で、いつも自分のルーツに不安があった。欧米人っぽい名前を名乗っているのも、変に目立ちたくないから。でも、BTSは発音しにくい名前を普通のことにした。
彼らは国連総会での演説や外国での授賞式で堂々と韓国語を話し、韓服(伝統衣装)を着て、韓国文化を広める。BTSは、学校にちょっと変わったランチを持っていった私たち、人前で両親の言葉を話そうとしない私たちの気まずい思いを吹き飛ばしてくれた。
自分の感情を声高に語ったことはないけれど、まさに私が思っていることを歌う7人がいてくれて、自らを理解し進歩する方法を見つけられた。BTSのおかげで、恥じることなく自分を愛せるようになった。
「『ただのおばあさん』を脱皮」
シャーマン(68)/無職/カナダ
心臓発作で死にかけるなど、2020年は惨憺たる1年だった。そんなときBTSが救いに来てくれた。彼らの曲に込められた「自分を愛そう」というメッセージは、まさに私が必要としていたものだ。
特別な功績のない人生を送ってきた私も、価値ある人間なのだと彼らは教えてくれた。「私なんてただのおばあさん」と思っていたけど、BTSを知ってからは無難な服ばかりではなく若々しいファッションに挑戦し、化粧もするようになった。