最新記事

BTSが愛される理由

誰もが応援したくなるBTSの成功物語 世界中のARMYに聞いた7人の魅力

WHY WE LOVE BTS

2022年6月11日(土)11時35分
ヒバク・ファラ(英ガーディアン紙記者)
アメリカン・ミュージック・アワード2021で3冠を獲得したBTSのメンバー

愛とリスペクトをもってお互いをいたわる姿も魅力の一つ(写真は2021年11月21日、アメリカン・ミュージック・アワードで3冠を果たしたメンバー) Mario Anzuoni-REUTERS

<ファンの間では「BTSに出会うのは、彼らを一番必要としているとき」という言葉がある。どんなに成功しても謙虚に努力を続ける姿勢、「私は私でいるだけで価値がある」というメッセージ──BTSにハマった理由を世界各国のARMYに聞いた>

6月13日にデビュー9周年を迎え、それに先立つ10日にはこれまでの集大成となる新アルバムを発表したBTS。彼らの世界的な成功は、ARMY(アーミー)と呼ばれる熱烈なファンの存在なくして語れない。世界の多くのファンにとって、韓国出身の7人組はそれまで見慣れていたミュージシャンとはいろいろな意味で違うはず。いったい彼らはなぜBTSにハマったのか。そのきっかけを聞いてみた。

◇ ◇ ◇

「歌詞を読んで心の重しが取れた」

アシュリー・ブリッグス(36)/ポッドキャストのプロデューサー、ライター、今はフルタイムの母親業/米アリゾナ州

mag0412bts_cover.jpg私は、0歳と2歳の子供を抱えた暮らしにもがいていた。孤独で、不安になったりダメな母親だと自分を責めたりと落ち込むことも多かった。子供たちが昼寝をしている間に台所の掃除をしていて、パニックに陥ったこともある。そのときBTSの「Paradise」が流れてきて、穏やかなメロディーと曲調にたちまち癒やされた。歌詞を見ると、その日の私に必要だった言葉が並んでいた。「立ち止まってもいい/理由も分からず走る必要はない/夢がなくてもいいんだ/少し幸せを感じられる瞬間があるなら」。これを読んで、心の重しが取れた気がした。

自分の価値を証明しようと必死になり、疲れ果てる必要はなかった。私が求めていたのは、子供たちの成長の基盤となるシンプルで快適な暮らし。BTSは、私は私でいるだけで価値があると教えてくれた。

BTSが他のアーティストと違うのは、メンバー同士の関係がとてもいいこと。お互いに対する愛とリスペクトが彼らの活動の中核にあり、理想的な友達関係をファンに教えてくれる。コロナ禍の下では、お互いをいたわる姿に心が安らいだ。

「自分を堂々と愛せるように」

ステファニー・レー(28)/法律事務所職員/スウェーデン

BTSが他のグループと違うのは、韓国人であることを誇りにしているところ。同じアジア人として、勇気付けられる。

私はスウェーデンに移住したベトナム人夫婦の娘で、いつも自分のルーツに不安があった。欧米人っぽい名前を名乗っているのも、変に目立ちたくないから。でも、BTSは発音しにくい名前を普通のことにした。

彼らは国連総会での演説や外国での授賞式で堂々と韓国語を話し、韓服(伝統衣装)を着て、韓国文化を広める。BTSは、学校にちょっと変わったランチを持っていった私たち、人前で両親の言葉を話そうとしない私たちの気まずい思いを吹き飛ばしてくれた。

自分の感情を声高に語ったことはないけれど、まさに私が思っていることを歌う7人がいてくれて、自らを理解し進歩する方法を見つけられた。BTSのおかげで、恥じることなく自分を愛せるようになった。

「『ただのおばあさん』を脱皮」

シャーマン(68)/無職/カナダ

心臓発作で死にかけるなど、2020年は惨憺たる1年だった。そんなときBTSが救いに来てくれた。彼らの曲に込められた「自分を愛そう」というメッセージは、まさに私が必要としていたものだ。

特別な功績のない人生を送ってきた私も、価値ある人間なのだと彼らは教えてくれた。「私なんてただのおばあさん」と思っていたけど、BTSを知ってからは無難な服ばかりではなく若々しいファッションに挑戦し、化粧もするようになった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アンソロピックが追加サービス公表、外部主要ソフトと

ワールド

米政権、10%の代替関税発動 15%への引き上げ方

ワールド

アンソロピック、AI軍事利用の制限緩和しない意向=

ワールド

米国務省、ロシア攻撃で米の利益損なわないよう警告 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中