トヨタ、米関税で通期営業益を6000億円下方修正 国内に新工場

8月7日、トヨタ自動車は、2026年3月期の通期業績予想(国際会計基準)を下方修正し、営業利益を従来の3兆8000億円から3兆2000億円に引き下げた。写真はトヨタのロゴ。カリフォルニア州タスティンで7月撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)
Maki Shiraki
[東京 7日 ロイター] - トヨタ自動車は7日、2026年3月期通期の連結営業利益予想(国際会計基準)を従来の3兆8000億円から3兆2000億円へ下方修正した。従来見通しから米関税が1兆2200億円の下押し要因となり、原価改善などによる増益効果を相殺する。
下方修正後の営業利益予想は、IBESがまとめたアナリスト26人の予想平均3兆8640億円を下回った。従来は20.8%とみていた前年実績に対する減益幅は33.3%に拡大する。
米関税の影響額は、通期で1兆4000億円と見積もった。日本から米国への自動車関税を27.5%から15%に引き下げることで日米両政府は合意したが、新税率の適用開始時期は未定。影響額を算出する際の完成車・部品の追加関税率は、日本からの輸出分が4━7月は25%、8月からは12.5%、カナダ・メキシコからの輸出分は通年で25%を前提とした。トヨタが負担する仕入先の関税分や、原産地規則(USMCA)に適合した部品の減免措置なども一部含んでいる。
通期の純利益予想も3兆1000億円から前年比44.2%減の2兆6600億円へ引き下げた。通期の営業収益(売上高に相当)予想は同1%増の48兆5000億円を維持した。世界販売計画も1120万台を据え置いた。北米は294万台から296万台に上積みしたが、アジアは190万台から186万台に引き下げた。
前提となる為替レートは1ドル=145円(前年実績153円)、1ユーロ=160円(同164円)で変更しなかった。前年からは7250億円の営業減益要因だが、5月に発表した従来業績見通しからは200億円の増益要因となる。
トヨタはこの日、愛知県豊田市に新たに車両工場を建設する計画も発表した。既存工場の老朽化に伴う新設で、国内生産300万台体制を維持する狙い。30年代初頭の稼働開始を目指す。生産する車種やパワートレイン(駆動装置)などの詳細は今後検討する。東崇徳・経理本部長はオンライン説明会で、「(国内に)ものづくりの基盤をしっかり残していく」と語った。
併せて発表した4─6月期の連結営業利益は前年同期比10.9%減の1兆1661億円だった。前年実績から関税の影響が4500億円、為替変動が1650億円それぞれ押し下げた。関税の影響は期初に4─5月の2カ月間で1800億円と織り込んでいたが、6月分が増えたほか、トヨタ分だけでなく、トヨタが一部負担する日本と米国の仕入先の部品関税分も反映した。
一方、トランプ米大統領が6日(米国時間)、米国に輸入される半導体に約100%の関税を課すと表明したことについて、上田裕之・渉外広報本部長は「今日の報道だけでははっきりわからないが、トヨタが国内で半導体だけを調達して米国へ輸出することはない」と説明。半導体が組み込まれている車両や部品として米国輸出する際は自動車関税15%が適用されるのではないかとの見方を示した。