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人生を変えた55冊

「私は恵まれていたが、ディケンズで社会の不平等を知った」哲学者マーサ・ヌスバウム

2020年8月10日(月)11時40分
マーサ・ヌスバウム(シカゴ大学教授、哲学者)

12歳の頃は長編に夢中だった。特に好きだったのが『デイヴィッド・コパフィールド』『ニコラス・ニクルビー』(邦訳/こびあん書房)。どちらも貧しく腹をすかせた子供の物語だ。1人は工場で働くことを強いられ、もう1人は「学校」に送られるが搾取やいじめに遭う。


『デイヴィッド・コパフィールド』
 チャールズ・ディケンズ[著]
 邦訳/新潮社ほか

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ディケンズは、法律や社会構造を変えなくても、個人の道徳的な気付きだけで正義は達成できると、間違った示唆をしている。だが、心を改めるだけでは不十分だとしても、それが必要なことも確かだ。

彼の小説は、自分がいかに恵まれているかを改めて考えさせ、ほかの人々に目を向けるよう促してくれた。

<2020年8月11日/18日号「人生を変えた55冊」特集より>

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2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

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