最新記事

エンターテインメント

ポケモンからハリポタへ 物語を現実世界へ「招喚」するAR

2019年8月2日(金)21時00分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)


この秋、新型iPhoneの発売に合わせてリリースされるといわれる『マインクラフト アース』 Minecraft / YouTube

拡がるエンタメとARのコラボ

この現実世界とリンクさせ位置情報を反映させたゲームは「ARゲーム」と呼ばれている。AR(拡張現実)技術とは一体どういうものなのだろうか。ARとはAugmented Realityの略で、スマホなどのカメラを通して目の前にある現実をAugmented(拡張)させるためにこの名前がついた。最近よく耳にする仮想現実(VR)は、作り上げられた仮想の世界にあたかも自分が入り込んだように見えるのに対し、拡張現実(AR)は現実世界に非現実を取り込むことなので、一見似ているが趣旨は全く違うものだと言える。

そんな中、今ARゲーム界で注目を集めているのが2019年の秋に新型iPhone発表と同時に正式リリースされるといわれている『Minecraft Earth』である。マインクラフトは、四角のブロックでできたバーチャル世界を楽しむゲームで、そのブロックを積み上げて建築を作ったり、地下に埋まっている鉱山や松明などを掘り当ててリッチな生活を目指したり、家畜を育てて繁殖させるなど、さまざまなことができるゲームだ。2010年からは「マインコン」と呼ばれるマインクラフトのイベントが行われるほどの人気で、2014年には映画化も発表された。今年5月に予定されていた公開は延期されたが、今年4月に公式Twitterとホームページで2022年3月4日公開が発表されている。今年配信予定のゲーム名は『マインクラフト アース』。その名の通り、ARの力で地球をマインクラフトのようにブロック化できるということで、世界中のファンは期待を募らせている。

家具選びからeスポーツにも

ここまで紹介したようにARは『Pokémon GO』の登場で一気に世界に広まった技術のため、ついついゲームばかり注目されがちだが、ほかにもさまざまな活用方法が開発されている。IKEAやアマゾンは、AR技術を家具のネット販売に採用している。室内にカメラを向けると、家具を実際に配置したように3Dで商品が浮かび上がり、画像内で採寸もできるので、実際に購入する前に試してみることが可能なのだ。

ほかにも、ARをスポーツに取り入れた『HADO(ハドー)』というeスポーツも開発されている。今年8月19日には、このHADOを使った公開授業が東京学芸大学附属世田谷小学校で行われる予定だ。ヘッドセットと腕にセンサーを付けた状態で、3対3で対決するスポーツで、エナジーボールを投げあったり、シールドで攻撃を防いだりして点を取りあう。実際には存在しない光の玉を投げ合い対決する姿は、まさにSF映画に出てくる未来のゲームのようだ。今後、このようなスポーツがどんどん登場していくのだろう。


かつてSF映画で見ていた世界が現実になったようなEスポーツ『HADO(ハドー)』 HADO / YouTube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ、鉱物協力基金に合計1.5億ドル拠出へ

ワールド

中韓外相が北京で会談、王毅氏「共同で保護主義に反対

ビジネス

カナダ中銀、利下げ再開 リスク増大なら追加緩和の用

ワールド

イスラエル軍、ガザ市住民の避難に新ルート開設 48
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中