最新記事

映画

ハンナの人気の秘密教えます

ディズニーが生んだアイドル『ハンナ・モンタナ』が、映画になって少女たちをますます熱狂させている

2009年4月22日(水)17時48分
ラミン・セトゥデ(エンターテインメント担当)

実力も本物 実生活でも親子のマイリー・サイラスとビリー・レイ・サイラス Phil McCarten-Reuters

 ディズニー・チャンネル発の大ヒットドラマ『シークレット・アイドル・ハンナ・モンタナ』が映画になった(『ハンナ・モンタナ ザ・ムービー』。)14歳以上の読者、とくに家族に10歳前後の女の子がいない読者は、何がそんなに一大事なのかさっぱり見当がつかないだろう。そこで、ハンナのTシャツを着たファンの女の子3人と映画を観てきた記者が、大フィーバーの秘密を教えよう。

1.主演のマイリー・サイラスが演じるのは、昼間は普通の(といってもやや早熟な)ミドルティーンの女の子マイリー・スチュワート。夜になると金髪のカツラをかぶってアイドル歌手ハンナ・モンタナに変身する。普通の女の子の生活を守りたいから、というのが「二重生活」を送る理由だ。

 サイラス自身もスーパーアイドルだ。08年夏の全米ツアーでは、ロックの大御所ブルース・スプリングスティーンをしのぐチケットセールスを記録している。

2.スーパーアイドルだけに、ハンナの取り巻きもビッグだ。トラブルが起きるといつも助けてくれるのは父親のロビー・スチュワート。演じるのはマイリーの実の父親でカントリー歌手のビリー・レイ・サイラスだ。親友のリリー(エミリー・オスメント)も、夜はカツラをかぶってハンナのそばにいてくれる。だが広報担当のビータ(バネッサ・ウィリアムズ)は、ハンナをタブロイド紙から守ることが仕事なのに全然役に立たない。ちなみに映画には、サイラスの親友でカントリー歌手のテイラー・スウィフトがカメオ出演し、1曲披露している。

3.最近のインタビューで、お気に入りのテレビドラマは『セックス・アンド・ザ・シティー(SATC)』だと明かしたサイラス。そのせいか映画『ハンナ・モンタナ』はSATCにそっくりだ。もちろんセックスシーンではなく、ハンナが靴に夢中なところ。デパートの靴売り場で元スーパーモデルのタイラ・バンクスと商品の取り合いになるシーンもある。

4.ハンナはサイラス同様、テネシー州の出身という設定だ。父親のロビーは、人気者になって調子に乗りすぎたハンナを故郷に帰すことにする。この設定にはかなり現実味がある。ビリー・レイ自身もよく、「(ロビーは)娘がブリトニー・スピアーズのように自分を見失ったら、家族そろってテネシーに帰るだろう」と語っている。

5.ハンナはテネシーで幼なじみのカウボーイ、トラビス・ブロディー(ルーカス・ティル)に再会して胸をときめかせる。実際、映画の撮影中サイラスとティルは付き合っていたらしい(がすでに別れたという)。ティルがスクリーンに登場するたび、客席の女の子達は身を乗り出して釘付けになる。

 まったくこの映画を観ていると、どこまでが現実でどこからがフィクションなのか分からなくなる。もし全部が現実なら、来年のアカデミー賞で最優秀ドキュメンタリー賞を狙えるだろう。

6.ハンナはアイドル歌手という設定だが、実際サイラスは歌がうまい。なかでも珠玉の1曲は父親とデュエットした「バタフライ・フライ・アウェイ」だろう。ディクシー・チックスとガース・ブルックスをかけ合わせたような曲に、映画にぴったりの歌詞が光る。

7.ハンナをスクリーンで見るのはこれで最後になるかもしれない。ドラマの契約はあと2シーズン残っているが、映画の続編を作るかどうかはわからないと、サイラスは語っている(確かにやめたほうがいい。映画の結末は完璧だった)。

 乗り気でないのにこの映画を観に行くことになったとしても、不機嫌になる必要はない。結構いい映画だったと認めることになるだろうし、サイラスがなぜ少女たちの女王なのかという謎も解けるだろう。彼女は確かに大物だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランの報復攻撃にさらされるイスラエル、観光客4万

ビジネス

レアアース磁石確保に苦慮とフォードCEO=ブルーム

ワールド

カンボジア、タイとの国境紛争で国際司法裁判所に解決

ワールド

米ミネソタ州議員銃撃、容疑者逮捕と報道 標的リスト
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中