最新記事

アカデミー賞

今だから語れる役者人生の裏側

本誌恒例の座談会に今年は豪華な個性派スターが大集合、ブラピの出世話からミッキー・ロークの愚痴まで秘話満載の本音トーク

2009年4月7日(火)16時24分

 アカデミー賞授賞式を控え、賞レースで注目の俳優を招いて行う座談会は、今年で12回目。司会が役得なのは、スター同士の交流を間近で見られることだ。

 ブラッド・ピット(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)がマリブの家を売りに出していると言えば、ロバート・ダウニーJr.(『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』)が言い値で買うと冗談を飛ばす。「なにしろ今年はたっぷり稼いだからね」

 アン・ハサウェイ(『レイチェルの結婚』)は名優フランク・ランジェラ(『フロスト×ニクソン』)に「あなたの言葉は全部メモしたい」と賛辞を贈る。ハリウッドで暮らそうかしらと話すイギリス人女優サリー・ホーキンス(『ハッピー・ゴー・ラッキー』)に、ミッキー・ローク(『レスラー』)は「こんな町、さっさと出たほうがいいぞ」と先輩風を吹かす。

 幸い座談会の終わるまでホーキンスはいてくれた。進行役は本誌デービッド・アンセンとラミン・セトゥデが担当。

──「名演技」と聞いて思い浮かぶのは?

フランク・ランジェラ 舞台『ナチュラル・アフェクション』のキム・スタンリー。幕が開くと、彼女はベッドに寝ている。目を覚まし両足を床に下ろし、タバコに火をつけてぷかりと吹かす。わずか30秒で役柄を見事に伝えきった。(ブラッド・ピットに)私の名前を出してくれてもかまわんよ。

ブラッド・ピット いや、僕は『ネイキッド』のデービッド・シューリスにしておきます。それと『夢のチョコレート工場』のジーン・ワイルダー。彼は足を引きずりながら登場して、前につんのめったかと思うと一回転する。その瞬間、この男から目が離せなくなる。

サリー・ホーキンス あれはアドリブだったと思うな。

──ミッキー、あなたは?

ミッキー・ローク 何が? 質問はなんだ? 『陽のあたる場所』でシェリー・ウィンタースに詰め寄られるモンゴメリー・クリフトだな。『ギルダ』のリタ・ヘイワースはマジでやばい。生きていたら、電話番号を聞きたいね。

ピット 僕は『ときめきサイエンス』のロバート。

ロバート・ダウニーJr. おい、反則だぞ。

アン・ハサウェイ 舞台『プルーフ』でメアリー・ルイーズ・パーカーが口にする「ファック・ユー」は史上最高の「ファック・ユー」よ。もの思いに沈んでいると思ったら、いきなり「ファック」と言って黙り込む。相手役は戸惑いながら次のせりふを始めるんだけど、パーカーはそれを遮って「ユー」。あのシーンは頭から離れない。

ランジェラ 私は75本の芝居に出たが、いちばん好きなせりふを教えようか。

ハサウェイ ぜひ。

ランジェラ 「しゃぶれ」。クリスティン・バランスキーに向かって、4カ月間言い続けた。毎晩、これを言うのが楽しみでね。

ハサウェイ 私もペニスがらみの場面を思い出した。『シャンプー』でジュリー・クリスティーが酔っぱらって、「彼のアレをしゃぶりたい」とはじけるの。あのせりふ回しは最高。ウォーレン・ベイティのぎょっとした顔もいい。フランク、「新人のころに知っていたら」と思う演技の手法やコツってある?

ランジェラ 自意識過剰にならないことだね。舞台では怖いもの知らずの私が、映画ではまるでイタリアのバアさまだ。カメラに魂を抜かれるんじゃないかと固まった。カメラの前で自由に演じられるようになるまで苦労したよ。5、6歳で俳優を志した人はいる?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀、金融政策の維持決定 食品高騰で25年度物価見

ビジネス

みずほFG、通期予想を上方修正 市場予想上回る 

ビジネス

三菱電、営業益4─6月期として過去最高 インフラな

ビジネス

中国、エヌビディア「H20」のセキュリティーリスク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 3
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中