最新記事

アカデミー賞

今だから語れる役者人生の裏側

2009年4月7日(火)16時24分

ピット まさか。俳優なんて問題外だった。

ランジェラ どこで育った?

ピット オクラホマ州とミズーリ州。大学の卒業式が2週間後に迫っても、社会に出る心構えが全然できてなかった。そんなある晩、ひらめいたんだ。よし、映画をやろう、ってね。2週間働いて200ドルをかき集め、車でロスに出た。1週間後にはエキストラをしていた。現場にいるだけでわくわくした。ロバートの『レス・ザン・ゼロ』にも端役で出たよ。

ダウニー らしいな。22年も前のことだ。あんたがエキストラにいるって知ってたら、ほうっておかなかったよ。「おい、すごいイケメンがいるぞ、キャストに入れろ!」ってね。

ハサウェイ ブラッドの話は売れない俳優に希望をくれた。私は15歳のときにバーガーキングのCMに出たの。慢性気管支炎なのに、どうしても俳優になりたくて。

ホーキンス 私は『スター・ウォーズ エピソード1』のエキストラよ。ジャー・ジャー・ビンクスと群衆のシーンに紛れてるわ。

ランジェラ 映画に初めて出たのは70年の『メル・ブルックスの命がけ!イス取り大合戦』。英語がわからない300人のユーゴスラビア人に監督が演技指導するのを見て、大笑いしたよ。

ピット 子供のころから俳優になると決めていた?

ランジェラ 7歳のときだ。「学芸会で妖精をやりたい人?」と聞かれ、手を挙げたんだ。姉が主役だったから、ライバル意識だな。

ダウニー (ロークに向かって)影響を受けたといえば、『ナイン・ハーフ』のあなたとキム・ベイシンガーは忘れられない。

ローク 俺よりよく覚えてるだろうよ。

ダウニー 俺はうぬぼれが強いからお世辞は言わない。『ナイン・ハーフ』のあんたほど色気があって謎めいていて、粋で奥行きのある男は初めて見た。これぞプロの仕事だと、自信をなくしたよ。

ローク 俺は不本意だった。監督と俺は『ラストタンゴ・イン・パリ』を超えるセックス描写をめざしたのに、キムが嫌がった。行くところまで行きたかったんだが。

ピット 『エンゼル・ハート』では本番まで行ったよね。

ローク 誰が言った?

ピット 伝説ですよ。駆け出しのころの僕には神様が3人いた。ショーン・ペンとゲイリー・オールドマンとあなただ。

ローク 『エンゼル・ハート』は勉強になった。なにしろ、相手はロバート・デ・ニーロだ。俺は注意力が散漫で集中力に欠ける。だからボクシングでもダメだった。だがデ・ニーロは集中力の塊だ。(監督の)アラン・パーカーに「デ・ニーロは完璧にせりふを覚えているのに、あんたときたらまたナンパか」と苦笑されたよ。

──ブラッド、(コーエン兄弟の新作)『バーン・アフター・リーディング』で演じたチャドは、救いようのないまぬけ男だ。

ピット 僕が死んだら、チャドとして記憶されるんだろうな。アンジェリーナ(・ジョリー)も、撮影現場で僕のまぬけな髪形と衣装を見てあきれてた。「あなたを見て色気を感じないのは初めて」だってさ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中