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アカデミー賞

今だから語れる役者人生の裏側

2009年4月7日(火)16時24分

──俳優にとって、公私を分けることがむずかしくなっている。とくにインターネットのせいで。グーグルで自分の名前を検索する?

ピット まさか。

──一度も?

ピット ないね。コンピュータの使い方も知らないんだから。

──アンはどう?

ハサウェイ しないわ。

ランジェラ そんなことはするもんじゃない。傷ついたり、大物気取りになったりしかねない。

ホーキンス ゴシップなんて信じちゃいけないって言うしね。

ダウニー 悪いけど、俺は大好きだ。めちゃくちゃ笑える。なかには「あんた、知り合いか?」ってくらい、やたらと味方してくれる人がいる。ひどい中傷を並べ立てる奴もいる。まあ、事実だったりもするんだけど。

ピット あれは本当に手に負えない。何でも書き立てられる。自分を切り売りするのはいまだに慣れないよ。それでもテレビ番組に出て私生活について話さないと、出演作品の宣伝に協力していないということになる。

ランジェラ 私は時代遅れもいいところだ。『フロスト×ニクソン』に出るまでは広報担当者を雇ったことがなかった。製作会社がインタビューやトーク番組の出演依頼にすべて応じろと言ってきたから、自分を守るために雇ったが。俳優の最大の魅力は謎や危うさにあると思う。なのに、自分という人間の一部を差し出せと言われる。できるかぎり戦わなければならない。素顔を知られるほど、演じる役柄の真実味は薄れる。

ピット でも、完全にそうするわけにはいかないんじゃないかな。(『ベンジャミン・バトン』のデービッド・フィンチャー監督は)作品の完成に5年を費やした。彼には成功してもらいたいとも思っている。悩ましいね。

ハサウェイ 告白するわ。さっき自分の名前を検索するかと聞かれたでしょ? 本当の答えは「イエス」よ。恥ずかしいんだけど。

ダウニー つまり、俺も自分を恥ずかしく思えってこと?

ハサウェイ あなたが恥じるべきなのはほかのことよ、ロバート。最初のうちは面白かった。でも、今はそうじゃない。ゴシップばかりで嫌な感じなの。ブラッドが言ったように、どんな些細なことも書き立てられる。

ピット こんな時代に映画業界に入った人には同情する。作品より「セレブ」が大事なんだから。

ダウニー いい話をしようか。『アイアンマン』の宣伝で日本に行ったんだ。俺の晴れ舞台だぜ、って気分で。空港に着いたら、こう言われた。(日本人の英語の発音をまねして)「パスポートに問題があります。重大な犯罪歴があるようですが」。そのとおりだと答えると、「その事実を申告していませんね」。6時間後、俺は尋問室に座っていた。「拘置所にいたのですか、それとも刑務所ですか」と質問された。どっちもだと答えた。「95年に初めて違法行為をしたときの罪状は何ですか」と聞かれたから、「何度も逮捕されたから覚えきれない」と答えた。そうしたら「入国は認められません」ときた。最終的には入国できたけど、「お願いだからもう日本に来ないでください」ってさ。それで......この先は手短に言おう。最高級の神戸牛を食べた。翌日から2日間、チョコレートミルク状態さ。

ランジェラ 意味がよくわからないんだが。

ダウニー 超高い牛肉を食べたら、腹を下したってこと。

ランジェラ 彼は自分の言語があるらしい。

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