最新記事

株の基礎知識

いま知っておきたいウォーレン・バフェット流投資、銘柄選びの6つの基準は?

2023年2月22日(水)11時45分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載
ウォーレン・バフェット

「投資の神様」ウォーレン・バフェット(2019年撮影) Scott Morgan-REUTERS

<30年以上の実績をもつファンドマネージャーが明かす、「投資の神様」バフェットの極意>

バフェットの投資手法

「投資の神様」と言われているウォーレン・バフェットの投資手法を取り上げたいと思います。

バフェットは、企業のオーナーとしての視点を持ち、投資した企業の利益を保有株数に応じて自分自身の利益と見なします。配当として支払うか、内部留保として再投資するかは、利益をどう使うかという選択の問題にしか過ぎない、としています。

そんなバフェットの投資手法では、長期の複利効果のメリットを受けることができます。そのためには、今期や来期の業績動向も重要ですが、それよりも「今後10年にどれだけの利益を上げられるか」のほうがはるかに重要になります。コモディティ型企業ではなく消費者独占型企業を選び、あとは長期的な複利の効果に任せる、ということです

バフェットの投資手法の最大の特徴は、「悪材料で売る一般投資家やファンド・マネジャーの裏をかく戦法」と言えます。市場の短期指向と悪材料の組み合わせはむしろ"贈り物"というわけです。

●コモディティ型企業とは

他社との差別化ができない低付加価値の事業を行っている企業がコモディティ型企業です。顧客にとっては「価格」が唯一最大の選択基準となります。最も低い価格を提示できるところが多くの顧客を獲得できるため、低コストの企業だけが勝ち残れます。

代表的なビジネスは、航空会社、穀物、鉄鋼、石油・天然ガス、紙・パルプ、自動車などです。

コモディティ型企業には、低い売上高利益率と低い在庫回転率、低いROE(株主資本利益率)、低いブランド価値、多数の競争相手、強い労働組合、大幅な過剰生産能力、景気の影響を受けやすい利益水準、設備稼働率に大きく依存している利益体質などの特徴があります。

●消費者独占型企業とは

ブランド価値の高く、強い市場支配力を持っており、価格競争に巻き込まれにくい企業が消費者独占型企業です。

その会社の製品やサービスを使わざるを得ないような企業であり、業績のブレは小さく、短期的な逆風を乗り越えていく力があります。大きな資本を要する土地、工場、機械設備などへの依存もしていませんし、たとえ能力の劣る経営者の下でも、その市場支配力が損なわれることはあまりありません。 

バフェット流の銘柄選び

バフェットの投資手法では、以下のような基準で、投資対象となる企業を見つけます。

●消費者独占力を持つ(と思われる)製品・サービスがある

優れた製品やサービスの存在は重要な必要条件ではあっても、それだけで優良企業としては十分とは言えません。

●EPSが増加基調にある

株主価値がどれだけ増えるかは、その企業の1株あたり利益(EPS)がどれだけ成長するかにかかっています。EPSの成長のためには、利益の一部を内部留保し、より収益性の高い再投資を実践していかなくてはなりません。それを毎年繰り返すことによってEPSは成長し、やがてそれが株価に反映され、株主価値の増加が実現されます。

(参考記事)株式 vs. 投資信託──集中か分散か、バフェットかグレアムか。あなたに向いているのは、どっち?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中