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東大卒プロゲーマー「ときど」を世界一に変えた1冊の本

2021年5月10日(月)11時15分
朴順梨(ライター)

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Photo: 遠藤 宏

――ときどさんに憧れてゲーマーを目指す後輩たちに、どんなアドバイスをしていますか?

「学校の勉強を頑張りましょう」って言っています(笑)。ゲームって人間的に成長しないと、うまくならないんですよ。

それに、eスポーツはワールドワイドなので、英語が話せたほうがいい。学校では英語をタダで教えてくれるのだからやるべきだし、作戦を立てるために論理的な思考が必要なので、友達と話してコミュニケーション能力を高める必要もあります。

だから、学校をおろそかにしないほうがいい。

昔は偶然勝ててしまった人もいますが、今は研究され尽くされているので、ゲームだけをやっていてトップになれるような甘い世界ではなくなりました。また、海外勢は日本よりプレイヤー人口も多いので、学校の勉強を放棄しないでもらいたいです。

――コロナ禍で海外遠征ができなくなり、他の選手と触れ合える機会がなくなった1年でしたね。

年間20ぐらいあった大会のうち、9割が海外で開催されるものだったので、毎年、1年の3分の1は海外にいたんですよ。それが昨年は全部なくなってしまって。

だから日本でできることを、手探りで探さなくてはならない1年でした。海外を回っているときは大変だと思っていたけれど、ないと寂しいものですね。

コロナ禍は予想外過ぎましたけれど、大会だけに照準を絞っていると大会そのものがないので、先が厳しい。だから多くの人にeスポーツに興味を持ってもらうために、何をしたらいいのかということを考えるようになりました。

以前は資料をまとめるのが好きではなく、講演は苦手だったのですが、昨年から講演や取材など、自分の考えを話す機会を増やしています。

――事務所に筋トレグッズがあるんですね。『メンタル・タフネス』でもフィジカルを鍛えることがメンタル強化に好影響を与えると書かれています。

そうですね、筋トレで自分に負荷を与えることが、メンタル強化に繋がっているという実感は僕自身もあります。

世界大会のような負けられない試合の、ある意味極限の状態って、苦しい思いをして空手のスパーリングをしたりベンチプレスを持ち上げたりするのと近いところがあると思うんですよね。

空手を始めたことで師匠からも「以前より肚力がついてる」と言われたし、フィジカルトレーニングは生活面でもプラスになることはいろいろあると思っています。それに、家にこもってゲームだけやってると運動不足になって、体壊しちゃいますから(笑)。

メンタル・タフネス
 ――ストレスで強くなる』
 ジム・レーヤー 著
 青島淑子 訳
 CCCメディアハウス

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