最新記事

会話術

「話すことが苦手だった」メンタリストDaiGoの人生を変えた話し方の科学

2021年5月13日(木)18時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

DaiGobook20210513-3.jpg

SARINYAPINNGAM-iStock.

それはカナダの大学の研究チームが行った研究で、雑談をする人はしない人に比べて周囲からの好感度が高く、能力の評価も高くなる傾向にあったのだ。さらに、重要なプロジェクトのメンバーに選ばれる確率も上がり、その人が困っているときには周囲からの助けを得やすいことも分かった。

これを知って雑談のメリットに気づいたDaiGo氏は、ノーベル賞を受賞した心理学者・経済学者ダニエル・カーネマン博士の理論から導き出した会話テクニックを取り入れ、心理学の世界でよく知られた研究事例を活用するなどして、「科学的に最強な雑談力」を身につけていった。

また、雑談によって相手にいい印象を残すには、いい後味を演出する「話し方と聞き方の基本形」と言うべき3つのルールがあるが、DaiGo氏は今でも、このルールを日常的に守っているという。

人が学んだことをすぐ行動に移せない理由

この他にも、神話研究によって明らかになった「ストーリーテリング」の効果や、相手に受け入れてもらうために必要な「内面の静けさ」に関する研究、さらには「聞く力」を高める具体的な会話例など、場面ごとに、有効な話し方のスキルやコミュニケーションの注意点などが解説されている。

ただし、これらを全て学んで実践すれば、あなたもDaiGo氏のようになれる......とは述べていない。それよりも、新しく取り入れた知識が自分自身の問題を解決してくれる、という強い関連性を感じることが重要だと説く。

なぜなら、人が新しいスキルを身につけようとするときは、現状を維持しようとするバイアスが働く。学んだことをすぐ行動に移せないのは、このためだ。

そうなるのを避けるためには、まずは自分が実際に悩んでいる問題に目を向け、それを解決してくれる知識を得ることから始めたほうがいい。


大切なのは、今、あなたが強く欲している「話し方」の情報にふれること。それが読んで得た知識を行動へとつなげる動機づけになるのです。(中略)話してみて、相手の反応を見て、対応するページを読み返し、また試す。この繰り返しの先に、目指すゴールがあります。(25ページ)

話し方や他人とのコミュニケーションに悩んでいる人の中には、それを克服するには自分の性格を変えなければいけないと考えている人もいるかもしれない。

だが科学に基づいたスキルを実践することは、性格や得手不得手には関係なく、また、何歳からでもチャレンジできる。

自分の話し方が変われば、周囲の反応も劇的に変わるだろう。そこから、新たな人生の扉が開かれることもあるかもしれない。

DaiGo氏のようになれるかどうかではなく、自分自身が望む自分になるための財産として、一生ものの「超トーク力」を身につけてみてはどうだろう。

超トーク力 心を操る話し方の科学
 メンタリストDaiGo 著
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

26年度予算歳出122.3兆円で調整、新規国債は2

ビジネス

三井住友FG、欧州で5500億円融資ファンド 米ベ

ワールド

シリア外相・国防相がプーチン氏と会談、国防や経済協

ビジネス

円安進行、何人かの委員が「物価上振れにつながりやす
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中