最新記事

自己啓発

人と接するのが苦手? 周りと噛み合わない? 人間関係に効く「即興演劇」の技術

2019年10月31日(木)16時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「自分はこういう人間だ」にとらわれ過ぎない

ところで、ここまで「自分の居場所を作る」と書いてきたが、渡辺氏によれば、居場所というのは本来、作るものではなく、発見し、受け入れるものだという。「この集団には、どんな自分が合うのか?」というふうに自分をカスタマイズすることで、新たな自分を生み出していくのだ。

自分ではない誰かを演じることとは違う。それでは居心地が悪く、本音で語ることもできない。そうではなく、「自分はこういう人間だ」という自分像にとらわれ過ぎずに、その集団内でお題に忠実になれる自分を探す。つまり居場所探しは、自分の新たな一面を探す作業でもある。

本書には、リアルな居場所を見つける方法だけでなく、SNSやインターネットでの居場所の見つけ方、また、避けるべき居場所や去るべき居場所についても詳しく紹介されている。

そうして見つけた「新たな自分」は、もしかすると意外な姿をしているかもしれない。それでも「本音で語る」というお題に忠実でいるかぎり、どんなに予想外の展開になったとしても、そこには「自分の居場所がある」と自信を持って言えるのだろう。

渡辺氏は現在、企業や自治体などでインプロを使ったコミュニケーション術のワークショップを行っている。そこでは、最初は周りを警戒して険しい顔つきだった人が、誰から見ても社交的に見えるように変わっていく、といった場面をよく目にするという。

「不満ゼロの理想郷の居場所はない」と、渡辺氏は言う。未知のものには不安が付きものだが、もし今いるところに居場所を見いだせないなら、「まだ見ぬ自分」を探す旅に出てみるのもいいかもしれない。


自分の居場所はどこにある?――
 SNSでもリアルでも「最高のつながり」の作り方』
 渡辺龍太 著
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

20191105issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

東ティモール、ASEAN加盟 11カ国目

ワールド

米、ロシアへの追加制裁準備 欧州にも圧力強化望む=

ワールド

「私のこともよく認識」と高市首相、トランプ大統領と

ワールド

米中閣僚級協議、初日終了 米財務省報道官「非常に建
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 4
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中