最新記事
アメリカ

【就任100日】「異なる世界線」の妄想を好むトランプ...批判派も評価していた政治的洞察力は何処へ

The Emperor Has No Instincts | Opinion

2025年5月2日(金)17時50分
トム・ロジャーズ
アメリカ国民が期待を寄せた物価高抑制という公約をトランプは早々に裏切った

アメリカ国民が期待を寄せた物価高抑制という公約をトランプは早々に裏切った miss.cabul-shutterstock

<物価高対策などでアメリカ国民の心をつかんだが、実際の政策はその真逆を行くもの。「裸の王様」は何を考えているのか>

ドナルド・トランプ米大統領を知的で好奇心に富んだ人物だと考える、思慮のある人間を見つけるのは難しい。組織運営をとっても、トランプが連邦政府などの大規模な組織を円滑に機能させる術を知っていると評価する者はほとんど存在しない。

トランプの政策に激しく反発する人々の多くは、政権が行うことを違憲、違法、非道、杜撰だと考えている。それでもなお、逆の意見を持つ多数のアメリカ市民が存在する。


選挙戦で掲げられた物議を醸す提案の多くを、実際にトランプが実行に移すと多くの人は思っていなかった。そうした人々に対し、トランプの言うことを真剣に、文字通りに受け止めるべきだと警告する者たちがいた。

このようにアメリカ国民の間で意見が割れていることは理解できる。トランプという人物は、常に物議を醸す、分断を生む存在であったからだ。

しかし、政治的立場を問わず、政権ウォッチャーの多くが皆認めていたのは、トランプが極めて優れた政治的洞察力を持っているという点である。

国境封鎖と移民流入の抑制、DEI(多様性・公平性・包摂性)施策への反発、「終わりなき戦争」(特にウクライナ戦争)の終結、政府支出の削減、そしてもちろん、インフレと消費者物価の引き下げ――。

トランプが選挙戦で重視した課題は、アメリカの有権者の多数が抱いていた懸念と一致していた。

(とはいえ、これらの公約を実行に移す過程において、トランプ政権は場当たり的で無秩序、法律などほとんど配慮していない)

東京アメリカンクラブ
一夜だけ、会員制クラブの扉が開いた──東京アメリカンクラブ「バンケットショーケース」で出会う、理想のパーティー
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米消費者、42%が感謝祭にクレカ利用予定 前年から

ビジネス

ドイツ経済、第4四半期は緩やかに成長 サービス主導

ワールド

資産差し押さえならベルギーとユーロクリアに法的措置

ワールド

和平計画、ウクライナと欧州が関与すべきとEU外相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中