トランプ関税で歳入増、「連邦所得税の廃止も可能」と主張
Trump's Tariffs Are Starting to Bring in Revenue

「解放の日」、各国に対する高率の相互関税を発表するトランプ(4月2日、ホワイトハウス) Photo by Samuel Corum/Sipa USA
<トランプ関税の悪影響に対する懸念が日々増大するなか、実際に税収が上がり始めた。トランプ政権の言う関税効果が実現し始めたのか>
ドナルド・トランプ大統領の無謀で予測不能の関税政策は、アメリカ経済にいつまでも消えない悪影響を及ぼすおそれがあると専門家が警告する一方で、トランプ関税が実際国庫に歳入をもたらし始めていることがわかった。
「解放の日」に発表した関税措置で早くも税収が増え始めた
本誌が確認した財務省の公式データによると、4月の関税収入は159億ドルだった。3月の96億ドルから急増した。これは、トランプがアメリカを搾取から解放する「解放の日」と名付けた4月2日、すべての輸入品に最低でも10%の関税を課し、中国製品については最高で145%の関税を課すとした大統領令の賜物だ。
63億ドルという増収は、連邦政府の予算全体から見れば微々たるものだ。連邦政府の歳入は、前会計年度には総額4.9兆ドルだった。しかも、株価下落で企業のバランスシートから消えた数兆ドルなど、この関税によって引き起こされた損失は考慮されていない。
トランプは、物議を醸す自身の関税政策について、アメリカの製造業を復活させる手段であり、所得税に頼らず政府の財源を確保するための方法だとして擁護してきた。トランプ政権はこの関税によって、ゆくゆくは連邦所得税を全廃することも可能になると主張している。